管理に関するFAQ

修繕工事

配水管取替工事に協力しない居住者がいる場合

理事をやっております。現在、管理組合では配水管の取り替えを計画しておりますが、協力していただけない居住者がおり、その部屋の工事ができない可能性があります。当マンションの配水設備は老朽化しており、一住戸が工事しない場合、配水管の破損などで他住戸へ迷惑をかけてしまうことも考えられますので、ぜひ工事をしたいのですが。

 マンションの配水管は時間とともに劣化し、漏水事故が発生する恐れがあります。しかし管理組合で工事をしようとしても、配水管の枝管は専有部分とされており、管理組合だけで工事を進めるわけにはいきません。また、共用部分のみを新しく取り替えても老朽化した専有部分で漏水してしまうため、全世帯の一斉工事を行う必要があります。そこで標準管理規約第二一条では「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」となっています。また標準管理規約第二三条では、管理を行う者は、管理に必要な範囲で、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り請求ができるとなっており、該当住戸は正当な理由がなければこれを拒否できないこととなっています。
 当該管理組合で標準管理規約を採用していなくて、同様の規定がなくても、考え方は同じでしょう。しかしながら、重要なことは該当住戸に一斉工事の必要性を十分伝え、納得していただくように努めることです。そして、居住者が立入りを拒否される理由や、立入りされることができない事由を聞き取ることに努め、居住者が工事のために在宅できる日や時間にできるだけの配慮をして、居住者の了解の下に立入りさせてもらえるように努めることが必要です。
 それでも、居住者が立入りを認めない理由や事由を説明せず、立入りを拒否され、一戸の配管工事だけができないことが共同の利益に反する場合には、配管工事のために、理事長が、特定の日時にその工事を妨害してはならないという通知をなすなどの手続きをし、現に立入りができないなどの事態の発生した場合には、工事のため入居妨害禁止の仮の裁判(区分所有法第五七条)を求めることも可能でしょう。
 この場合には、裁判費用などが居住者の負担となり、不利益を受ける場合もありますので、そのことを理解していただき、居住者の了解を得るように努めましょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2006年11月掲載

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隣接地の使用許可について

理事長をしています。マンションの大規模修繕工事を予定しています。工事には足場の架設を必要としますが、敷地内に足場を架けるスペースがありません。隣接地の所有者に対して、工事期間中の足場の架設に伴い隣接地の使用許可を求めることはできるでしょうか。

 本問のように、修繕工事の実施において敷地スペースの問題で足場の架設が不可能である場合には、隣接地の所有者に対し、敷地境界線を越えて隣接地の部分的な使用をさせていただけるよう協力を求めるしかありません。
 民法では「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない」と定めがあります(民法第二〇九条第一項)。この定めに基づけば、隣接地の所有者の協力が得られない場合においては、法的な手続きによって隣接地の使用許可を請求していくことも可能です。
 まずは隣接地の所有者に対し、修繕工事の内容と必要性、足場架設において隣接地の協力の必要性などを詳細かつ誠意をもって説明の上、協力要請をしていくことが必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2009年10月掲載

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契約内容不履行の工事の完了確認をした役員の責任は

私のマンションでは、三年前に大規模修繕工事を実施しました。契約時とは異なり、約三分の二の規模で業者が修繕を実施し、当時の役員はそれに気付かずに完了確認を行い、業者へ工事代金を支払っていたことが発覚しました。これは当時の役員(監事を含め)の責任だと思うのですが、どの程度責任を追及できるのでしょうか。

 管理組合の役員の就任は、管理組合との間の委任契約になると解されます。民法の委任契約はその六四四条に「委任の本旨に従い、善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う」と規定され、受任者(委任を受けた人)は、有償、無償を問わず、この注意義務を有することになり、この注意義務を怠ったときは、損害賠償を受けることもあります。この委任者の注意義務を一般的に「善管注意義務」といって、「受任者の職業・地位・知識などにおいて一般的に要求される平均人の注意義務」を指すといわれています。
 そうすると、管理組合の役員としては、「工事業者が契約内容の通りに適正に工事を実施されていること」、「実施された工事の対価として定められた代金の支払いを行うこと」などについて、平均人が持っている注意を払う義務があるといえます。
 当時の役員が契約内容とは違う工事が実施されていることを見過ごしたということですが、この見過ごしが、工事の外観を見れば誰もが容易に気付くべきものであるとか、実施された工事が契約内容と違うことを知っていて黙っていたということであれば、善管注意義務違反としてその責任が問われます。
 しかし、一般的に要求される知識などを超える専門知識が必要な場合や、監理業者や工事業者が虚偽の報告をなし、専門知識がなければ到底これを見破ることができない場合であれば、責任を追及することは難しいと思われます。
 この点は、有償であろうと、無償であろうと異なることはありません。
 いずれにしても、工事業者や工事監理業者は契約した内容を履行する責任があり、本問のケースは、業者が契約を誠実に履行していないといえますので、これら契約相手の責任を追及することが基本でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2007年10月掲載

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マンションの建替え手続きについて

理事長をしています。マンションの老朽化が進み、マンションの建替えを検討しています。建替えを行うにはどのような手続きが必要ですか。

 マンションの老朽化が進んだ場合、修繕工事ではなくマンションの建替えを行う際は、集会(総会)において、区分所有者および議決権の各五分の四以上の決議が必要になります。建替え決議の手続きについては、区分所有法第六二条に規定があり、その概要は次のようなものです。
 まず、集会(総会)の招集手続きについても、通常の招集手続きとは異なり、集会の会日より少なくとも二月前(規約で伸長することは可能)に発し、少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催することが必要です。
 また、建替え決議を行う場合には、次の事項を確定する必要があります。
(1)新たに建築する建物(再建建物)の設計の概要
(2)建物の取壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額
(3)前号に規定する費用の分担に関する事項
(4)再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
 そして、招集の際に通知すべき内容としては、建替え決議の議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければなりません。
(1)建替えを必要とする理由
(2)建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む)をするのに要する費用の額およびその内訳
(3)建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
(4)建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
 建替え決議による建替え制度は、少数の反対者が存在することを前提とする制度ですから、建替え決議が成立した場合は、同法六三条で建替え参加者と不参加者を区分・確定する手続きを規定しています。集会を招集した者が建替えに賛成しなかった区分所有者(決議に参加しなかった区分所有者を含む)に対し、建替えに参加するか否かを催告し、参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権および敷地利用権を時価で売り渡すように請求し、最終的に売却を受けることになります。
 また、マンションの建替えにおいては「権利変換」という手法が用いられ、旧マンションについて存在した権利関係(区分所有権、敷地利用権、抵当権など)は、再建建物(新マンション)に移行されます。
 マンションの建替えは、非常に大きな問題です。建替えの検討や協議においては、専門家の意見も参考にし、新旧のマンションにおいて各区分所有者間の公平性が保たれるとともに、できるだけ区分所有者の意見が反映されるよう慎重に議論することが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2010年12月掲載

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大規模修繕工事中に業者が倒産した場合は

理事長をしています。大規模修繕工事を実施中ですが、工事を実施している業者が倒産してしまいました。どのように対応すればいいでしょうか。

 業者が倒産したというのは、手形不渡りを出すなどにより、建築資材が納入できなくなり、実質上、事業の継続が不可能な状態をいいます。このような状態になると、業者に資産があっても、債務が超過しているのが通常ですので、債権者からの事実上の債権取立行為を避けるために、裁判所に破産申請を行い、破産管財人(通常は弁護士)が選任されることになります。
 もしも、大規模修繕工事途中でこのような事態が起こってしまったら、工事の継続が停止してしまい、請負契約そのものが破産管財人に処理されることになります。
 破産管財人は、この請負契約を継続して工事を続行し、工事代金の支払いを受けた方が良いのか、請負契約を解除した方が良いのかを破産会社の財産状態を中心に判断しますが、工事が完成間近であるなどのケースを除いて、建築資材を調達できず、従業員の給料の支払いもできないのが普通ですから、請負契約が解除されるのが一般的です。
 一方、注文者である管理組合から、この請負契約を解除できるかが問題となりますが、判例は、破産法の法的解釈として、注文者からの解除を認めていません。この点、学説ではいろいろな解釈によって解決策を模索していますが、一般的には、請負契約を解除することができないといえます。
 そこで、注文者である管理組合には、この請負契約を継続するかどうかの催告権が認められるので、破産管財人が選任されたら早急に催告するのが良いでしょう。
 契約が解除された場合には、通常は前渡金を支払っていることから、工事出来高と前渡金とを清算しますが、過払金が発生して破産財団に先取特権のある破産債権として届出をしても、全額配当を受けるのは不可能でしょう。
 大規模修繕などの高額な工事代金の請負契約をする場合には、このような危険がありますので、請負業者の財務状態を事前にチェックすることが絶対に必要ですし、連帯保証人をつけることも必要です。
 建築業法二一条では、請負代金の一部前払いがされる場合は、注文主は保証人を立てることを請求できると定めていて、業者は、債務不履行の場合の損害金の支払いだけでなく、工事完成の保証人を立てることになっていますので、万一のためにも、このような注意を払うことが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年6月掲載

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大規模修繕工事に仕様変更等が発生した場合は

総会で承認された大規模修繕工事が、着工後の工事の仕様変更や追加工事などのため、総会での承認額を超過する可能性が出てきました。予算の追加については、理事会決議にて承認の上、工事を進めることに問題はないでしょうか。

 大規模修繕工事の実施について、区分所有法では総会決議事項としています。工事の内容が共用部分の形状または効用の著しい変更を伴う場合には区分所有者及び議決権の各四分の三以上の賛成を、その他の場合は各過半数の賛成を必要とします(区分所有法第一七条、第三九条)。
 したがって、本問のように総会決議を経て着手した大規模修繕工事に、仕様変更や追加工事が発生する場合には、原則として予算超過の有無にかかわらず、改めて総会決議を経る必要がありますので、理事会決議に基づいて工事を進めることはできません。
 管理組合での手続きとしては、臨時総会を開催することとなります。手続き上は次期定例総会によることも不可能ではありませんが、総会で決議するまでは工事は行えず、その分建物の劣化につながるおそれがあるため、早急に臨時総会を開催して対応すべきでしょう。
 総会を頻繁に開催することは、理事会役員のみならず組合員の負担も増すこととなります。工事の仕様書や発注金額などはもちろん、仕様変更や追加工事の必要性を明確に示せる資料を整え、より多くの組合員の賛同を得られるように努めることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年11月掲載

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区分所有者による工事の妨害行為

理事長をしています。総会で大規模修繕工事の実施が承認されましたが、理事会役員と工事業者の間に不正な癒着があるとして、役員や工事業者を誹謗中傷する文章を配布するなどの妨害行為を行う住民がいて、そのために工事着工も遅れています。迷惑行為をやめさせるためには、どうすれば良いでしょうか。

 マンションの管理は、区分所有者が協力して実施されるものであり、区分所有者の一人が理事会役員と工事業者の間に不正な癒着がないのに、これを疑うだけでなく、役員や工事業者を誹謗中傷する文章を配布するという行為は、異常な事態であるといえます。
 通常は、区分所有者が抱いている疑惑の払拭や誤解を解くために、管理業者の職員や他の区分所有者等を通じて、疑惑の払拭や誤解の解消に努めることも大切です。
 しかし、区分所有者がどうしても納得されず、工事の着工が遅れることによってさまざまな障害、例えば、雨漏りや外壁タイルの剥離・落下等による居住者等の身体・財産への危険が差し迫った状況にある場合には、工事の妨害行為が区分所有者の共同の利益に反する行為にあたるとして、行為の停止を求めることもできるでしょう。
 それでも区分所有者の行為が止まない場合には、法的に解決することもやむを得ないでしょう。
 その場合、理事会役員と工事業者の間に賄賂の授受等の不法行為がなく、また総会の招集や決議等に何らかの不備がないということであれば、誹謗中傷を受けた役員は名誉を棄損されたことを原因とし、また、施工が遅れた工事業者は業務に妨害を受けたことを原因として損害賠償を求めることも可能です。
 また管理組合は、当該区分所有者に対し迷惑行為の停止を求める場合には、区分所有法第五七条に基づき総会の普通決議を経て、更に、迷惑行為による障害が著しく専有部分の使用禁止等を求める場合には、同法第五八条等に基づき総会の特別決議を経て、訴えを提起することができるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年3月掲載

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給湯器の補修費用を管理組合が負担しても良いか

理事長をしています。地震により、マンションの三分の一の住戸で専有部分の給湯器が破損、故障する被害がでました。理事会では、管理組合の費用から修理費を捻出することを検討していますが、法的な問題がありますか。

 マンションでの補修に要する費用は、共用部分については管理組合が負担し、専有部分については区分所有者が負担するのが原則です。
 本問は、専有部分にある設備機器(給湯器や空調機器など)が地震によって破損、故障したということであり、この修理費用を管理組合が負担するということは、区分所有者の共有財産である管理費用を特定の区分所有者のために費やすことになり、利益の享受において区分所有者間に不公平となりますので、適切な対応とはいえないでしょう。
 しかし、被害を受けた専有部分の設備箇所が給湯器への水道配管や電気配線のような箇所の場合には、建物の効用のために設けられた電気配線・ガス・水道配管等の効用上、建物と不可分の関係にあるような設備を修理する必要があることもあり、区分所有者全体の利益に関わることでもあり、その一方で、これを専有部分の区分所有者に修理を委ねると、適正な修理が行われないで漏水事故などのおそれもあり、建物全体の効用に影響を及ぼすことも考えられ、その修理費用を管理組合が負担することが適正な場合もあります。
 本問では、三分の一の給湯器が破損、故障したということですが、例えば、水道配管や電気配線の設備が破損しているおそれもあり、これらの設備の点検が必要であるとする場合は、その点検費用を管理組合が負担し、給湯器の修理費用を区分所有者が負担するという対応が適正と考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2013年3月掲載

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総会で採択された工事を妨害された場合は

理事長をしています。ある組合員が総会で意見を述べることもしないまま、管理組合の役員を誹謗中傷する文書を配布し、総会で採択された工事を妨害するような行為を行っており困っています。当該組合員に対し、これらの行為の中止要求を行っても全く収まらないため、区分所有法第五七条第一項(共同の利益に反する行為の停止等の請求)に基づき、行為の差し止めを求めて訴訟提起することを検討しています。上記のような行為は、区分所有法第六条第一項(区分所有者の権利義務等)に定める区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるのでしょうか?

 今回のケースは、総会で提案された議案について、当該組合員が総会の場で意見を述べることもないまま、採択された議案を執行しているところ、管理組合の役員を誹謗中傷する文書を配布し、また、採択された工事の施工を妨害する行為に及んでいるということから、管理組合役員に対する単なる誹謗中傷という問題だけでなく、むしろ、総会で正当に決議された事柄が円滑に進められない事態となっていることが重大な問題といえます。
 そして、このような事態が続けば、管理組合の役員に就任しようとする者がいなくなり、管理組合の運営が困難となる事態が招来されることも懸念されます。
 従って、管理組合への適正な業務運営を妨害する場合には、区分所有法第六条第一項に定める区分所有者の共同の利益に反する行為に当たると考えられますし、場合によっては、過度な役員への誹謗中傷する行為も同条同項に当たるといえる場合があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2014年9月掲載

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