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鷹匠/石橋 美里さん

石橋 美里さん
現代の鷹匠として
Profile

石橋 美里さん/鷹匠
平成6年生まれ。佐賀県武雄市出身。佐賀女子短期大学こども未来学科卒業。在学中は、平日は幼児教育を学ぶかたわら、週末は鷹を操る鷹匠の活動を行っていた。現在は鷹匠を専業に活動。(株)ファルコンウィングの経営に携わりながら、現代の鷹匠として活躍の場を広げる。
http://falconwing.web.fc2.com/


鷹匠になるきっかけ

 鷹との出合いは、父親の仕事の都合で住んでいたタイのバンコクの市場でした。市場で売られていた鷹を見て、猛きん類の存在を初めて知りました。もともと動物が好きで、いろいろな動物を飼っていたこともあり、猛きん類に強く興味を持ち、ネットで鷹やハヤブサの生態について調べたことを覚えています。帰国し、小学3年生のときに猛きん類のショップでハヤブサのひなを買ってもらい、飼うようになりました。小学5年生のときに鷹のひなも買ってもらいました。育て方などを猛勉強し、それからというもの、ほとんどの時間を鳥たちと過ごしてきました。

 ある日、猛きん類を外で飛ばしていたところ、カラスの行動の変化に気づきました。猛きん類を見て、カラスたちが逃げるのです。生態系の中で、猛きん類はカラスより上位であることを知りました。それを利用することで人の役に立てるのではと感じ、それからは、猛きん類による効率的な追い払いについて考えるようになりました。

 高校3年生のときに進路を決めなくてはいけなくなり、これからも猛きん類たちと一緒にいたいと思うようになりました。獣医になるために進学するのか、鷹で生活をするのか迷っていたところで、技術を磨きながら、教育系の学部で教員としての教養を積むことにしました。短期大学で幼児教育を学びながら、土日は鷹匠としての活動を行っていました。卒業後は鷹匠としてさまざまな活動を行っています。

鷹匠として

訓練風景
訓練風景

 鷹匠として工場や倉庫などに住み着いているハトやムクドリの撃退などを行っています。最近は、マンションからの依頼も増えています。

 それ以外に、デパートや大会のセレモニー、介護施設や学校の行事で開かれるフライトショーなどで鷹を飛ばすなどのパフォーマンスも行っています。また学校などで、命や自然に関しての教育講演を頼まれることもあります。

 鳥は生き物です。コンディションを整えるために、徹底した健康管理に気を付けなければなりません。そして、事故が起きないようにしっかりトレーニングをすることも大事です。お客さまの前に連れていっても恥ずかしくない鳥となるべく、細かいところまで気を配って訓練しています。鳥優先の生活で、人間が生活スタイルを合わせることが多く大変です。ですが、大切に調教した鳥が本番で思うように動いてくれたり、お客さまが笑顔になり、喜んでもらえることは大変うれしいです。過去に4万5000人のお客さんの前で鷹2羽を飛ばしたことが特に記憶に残っています。鷹は私にとって生活の柱であり、時に仕事のパートナーになってくれる妹や弟のような存在です。

マンションでの取り組み

マンションでの活動。サンコーポ浦安(千葉県)の理事長さんと
マンションでの活動。サンコーポ浦安(千葉県)の理事長さんと

 マンション管理組合からハトなどのフン害や鳴き声で困っているというケースで、撃退してほしいという依頼があります。通える範囲であれば、定期的に訪れて威嚇を行うことができます。しかし、マンションの場所によっては、頻繁に行ける距離ではないこともあり、一回一回がカギになってきています。そのためハイブリッド工法による追い払いを行っています。ハイブリッド工法とは、鷹による威嚇と鳥が嫌う忌避剤を併用する方法です。忌避剤は、植物油、鉱物油、ハッカ類や唐辛子を主な成分とする無害なものを使用しています。匂いや羽にべったりと付く性質からハトが苦手とするものです。これと猛きん類の威嚇が効果を出します。昼間は鷹を飛ばし、夜は闇に強いミミズクを放ち、ハトなどに恐怖を与えます。

 追い払いに対してマンション全体で正しい理解を持ってもらうことが必要になってきます。追い払いを行った後に、マンションで効果があったなどの声をいただくと、励みになります。

子どもたちに伝えたいこと

最近、新たに加わった鷹。これからが楽しみ
最近、新たに加わった鷹。これからが楽しみ

 小中学校で特別授業を行うこともあります。ハヤブサや鷹やフクロウを使って、鳥たちの生の飛び方を見せたり、自然界で生きる猛きん類の暮らしを紹介したりと、子どもたちに動物に対して親しみを持ってもらうような授業を心掛けています。

 食物連鎖を通して、命の営みについて話をすることもあります。他の動物の命を得て生きるハンターとしての猛きん類の食性や彼らのハンティングの様子などから、自分たち人間との共通点を客観的に気づかせ、私たち人間も他の動物に命をいただいて、生を得ていることに対して理解してもらえればと思っています。地域性や学校や保護者の方などの方針によって、それぞれ授業内容を考えています。さらに最近は、石橋美里としての私のこれまでの生き方などを話す機会も増えていて、大変ありがたいと感じています。

 子どもたちは意欲的で、夢中になって授業を聞いてくれます。子どもたちが先生や保護者と授業で感じたことを話す様子などは見ていてほほえましい気持ちになります。鳥のことだけでなく、害鳥排除の現場での経験から学んだ有明海のノリのでき方、ハウスミカンの農家さんの知恵などを話すこともあります。子どもたちにたくさんの世界を知ってもらうことは、将来の幅広い選択にゆくゆくはつながっていくと思います。これからも鷹たちとともに、子どもたちにいろんなことを伝えていきたいです。

 また、多くの人たちの役に立つような活動を続けていき、鷹匠としてのフィールドを広げていければと思っています。


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