Wendy-Net トップページ > Woman > Back Number >地域再生コンサルタント 水津 陽子さん

Woman

BackNumber

地域再生コンサルタント/水津 陽子さん

水津 陽子さん
「地域ならではの資源を活かした
『新たな観光』や『まちづくり』を支援」
Profile

水津 陽子さん/地域再生コンサルタント
合同会社フォーティR&C代表。1961年島根県生まれ。石油会社、官公署、税務会計事務所勤務等を経て98年経営コンサルタントとして独立開業。地域資源を活かした地域ブランドづくりや観光振興、自治会・町内会活性化など、全国で地域活性化・まちづくりに関する企画コンサルティング、講演、執筆等を行う。2014年地方創生法に関連し衆議院経済産業委員会に参考人招致。メディア取材協力多数。
http://www.forty-jp.com


「地域に関わる仕事を始める」きっかけ

 1998年にそれまで勤めていた税務会計事務所を辞め、独立開業して今年で19年目を迎えます。時々、どうしてこの仕事をするようになったのか、どこで勉強したのかと聞かれます。

 発端は腰痛が悪化し3週間入院した35歳のとき。その年、同世代の友人2人が相次いで亡くなりました。ベッドの上で、自分の人生ってこのままでいいのかなと思うようになって、まず考えたのは転職でした。

 そこで退院して、すぐ行政書士の資格取得の勉強を始めました。大した学歴もなく、持っている資格といえばせいぜい簿記2級くらい。もう少し履歴書をにぎわすものを増やそうというくらいの気持ちでした。行政書士を選んだ理由は簡単に取れそうだったからで、行政書士になるつもりなど毛頭なく、行政書士が何をしているのかも知りませんでした。

 行政書士に合格し、受験予備校主催の合格パーティーに招待され、そこで独立を目指す女性たちと仲良くなりました。そこから交流が始まり、さまざまな時流も相まって、半年もせず行政書士・経営コンサルタントとして独立することになりました。

 1998年はウィンドウズ98が発売され、インターネットを使った独立開業、SOHOベンチャーが数多く生まれた「第2期起業ブーム」が起きていました。大手企業すらまだほとんどホームページを持たない時代で、見よう見まねでホームページを作るとすぐに自治体の地域振興担当から声が掛かり、SOHO関係のメディアではITを駆使した行政書士・コンサルタントの先駆例として度々取り上げられるようになりました。

 独立当初は起業支援や中小企業の経営指導、法人設立や許認可など、それまでの経験や新たに取得した行政書士やファイナンシャル・プランニング技能士の資格を活かした仕事など、来る仕事は何でもやっていました。活動の拠点は主に都内近郊で、地域振興では商店街活性化のアドバイザーや自ら立ち上げたNPO法人でまちおこしの活動も行っていました。

 そこから2000年を迎え、次第に今の「地域資源活用」「地域ブランド」などをキーワードとした地域活性化へ特化、活動の場も全国へ広がっていくのですが、小泉政権下で三位一体の改革が打ち出されると、それらは地域振興における政策の柱となり、今の「地方創生」へと続くトレンドとなっていきました。

※行政書士登録は98年6月1日から2013年7月31日まで。

原点は幼き日に見ていた原風景「古き良き商店街」のにぎわい

 地域活性化・まちづくりをどこで学んだのかと聞かれますが、特別なことは何もしていません。

 スキルとしては対象の現状分析を行い、課題や可能性を整理、今後に向けての考え方や方向性、参考となる具体例や手法などを示すという、ごくベーシックな経営コンサルティングの手法を地域に当てはめ提供しているにすぎません。

 起業支援であれ、中小企業の経営指導であれ、地域活性化であれ、やるべきことは変わりません。強みとなるそれぞれの資源の魅力や価値の発掘、ターゲットやニーズの分析、情報や商品をどう市場に届けるかというマーケティングや戦略策定の考え方や手法は同じです。

 自分として特異なことがあるとすれば、年間60~70回の地方出張をする中、できるだけ時間を取り、実際に地域を歩いて収集した他にない情報量と質、それを分析しビジョンや戦略を描くこと。そのベースに地域への飽くなき興味関心、ある種オタク的なまち歩き好きがあるということでしょうか。

 地域への強い思いは子どものころ、多くの人でにぎわっていた古き良き商店街の姿が原風景としてあり、それが失われたことにあります。学生時代に通ったまちのパン屋や本屋が次々と消え、まちが寂れて死んでいく。しかしOL時代、社会の問題に対しそれほど意識的ではありませんでした。

 それを喚起したのはくしくも行政書士の勉強をしていたとき。当時、試験科目には論述(小論文)があり、どのようなテーマが出題されるか分からないため、社会や経済など時事問題に関し、日々経済新聞などを読んでいました。その中で日本社会が抱える課題を自分のこととして捉え、解決を図る取り組みが必要だと考えるようになったのです。

 最初にホームページを作ったとき、自治体の地域振興の担当者が関心を持ってくれたのは、「こんなまちに住みたい」「こんな商店街があったらいいな」「こんな社会にしたい」など、まちづくりへの思いをまとめた記事でした。

いろいろな人のおかげで今がある

交換会風景。これまで行った講演やセミナーの数は1000回を超える
交換会風景。これまで行った講演やセミナーの数は1000回を超える

 独立したときはダメなら転職すればいいやくらいのお気楽な気持ちでしたが、気がついたら一番長い勤め先が自分の会社となっていました。他人と比べて特別に努力したこともなく、営業もほぼしたこともないのに、よく今日まで生きてこれたなと自分で感心することがあります。もちろん時に大変なこともありますが、それを乗り越えられたのは自分の力というより、多くの人との出会いと助けがあったからです。ターニングポイントには必ず、誰かに声を掛けてもらって、チャンスやきっかけをつかめたことが実に多くあります。

 たとえば、コンサルタントにとって本を出すというのは大きな出来事ですが、初の本格的な著書となった2008年の『ロハスビジネス』は、執筆という仕事への意識の転換点となりました。これ以降、私の地域での情報収集と分析にかける時間と手間は大きく膨らみました。この8年間で取材した地域は優に400カ所以上。地道に書いてまとめた調査研究レポートを見た編集者から声を掛けてもらい、今では多くの連載を持つまでになりました。著書をきっかけにメディアからの取材や講演依頼を頂くことも少なくありません。講演回数も開業以来1000回を超えました。

 その後も本を出版。これを機に自治会・町内会問題への関心も高まっており、テレビやラジオなど、マスメディアで多くの特集番組が組まれるようになりました。

 講演やコンサルティングはそこにいる人にしか届きませんが、執筆は社会にインパクトを与える手法であり、必要としている人に効果的に情報を届けられる手段にもなります。

 地域も人もオンリーワンの強みを見つけ、それを磨くことが社会に必要とされ、生きる道につながるものと確信します。今後、その地域や人ならではの魅力を発掘、それに気づかせ、広く伝え、地域が希望や自信を持ち、立ち上がるお手伝いを一つでも多くしていけたらと思います。


BackNumber

(無断転載禁ず)