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NPO法人CANVAS理事長/石戸 奈々子さん

石戸 奈々子さん
「こどもの創造的な学びの場をつくる」
Profile

石戸 奈々子さん/NPO法人CANVAS理事長
慶応義塾大学准教授。東京大学卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、子ども向け創造・表現活動を推進するCANVASを設立。開催したワークショップは3000回、約35万人の子どもが参加。株式会社デジタルえほんを立ち上げ、えほんアプリを制作中。著書に『子どもの創造力スイッチ!遊びと学びのひみつ基地 CANVASの実践』等。デジタルえほん作家&1児の母としても奮闘中。
http://canvas.ws


 世界の子どもたちがケータイを使って4コマ写真マンガを作る。デジカメを手に街に繰り出し、ブログ、ポッドキャスト、新聞、映像という4つのメディアを通じて、地域情報を発信する。ポパイやチャップリン、スーパーマンなどの有名な映画を編集し、新しい映像を制作する。「DJになろう」。こどもたちが無数の曲の中から、自分のほしい音を選んで、組み合わせて、そして自分の表現をつくりあげて、人に聞かせて、観客の体を揺さぶる。

ワークショップコレクションでの様子
ワークショップコレクションでの様子

 2002年に設立したNPO法人CANVASは、子どもたちに、創る場、表現する場を提供し続けている。これまでに開催したワークショップは3000回。約35万人の子どもたちが参加した。

 「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時にいまは存在していない職業に就くだろう」。

 米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏の言葉だ。知識を覚えたり、事務的な処理をしたりする仕事は、コンピュータにとって代わられてしまうのだ。

 いま1000年に1度の大革命ともいえるデジタル革命を迎えている。社会は大きく変わる。学校で学んだ知識だけでは対応できず、誰も答えを教えてくれない、誰も答えを知らない世の中を子どもたちは生きている。

ワークショップコレクションでの様子
ワークショップコレクションでの様子

 そんな時代を生きる子どもたちに求められる力は何か?そして、そのための学習環境とはどんなものなのか。

 これまでは、より多くの知識を得ることに評価の力点が置かれていた。教師が持っている知識を一方向に多数の生徒へ伝達する授業形態は、均一化された知識を身につけた人材を輩出する工業社会には効果的だった。

 しかし、経済がグローバル化し、大量の情報が国境を超えて行き交う社会となった。異質な文化、異質な価値観から構成される共同体の中で、大量の情報を取捨選択し、再構築し、新たな価値を生み出す力が求められる。

 多様性を尊重しつつ、個に応じた学習ができる。異なる背景や多様な力を持つ子どもたちがコミュニケーションを通じて協働し、新たな価値を生み出すことができる。CANVASが目指しているのは、そんな学びの場を作ることだ。

 年に1度、全国にある子ども向けワークショップを一堂に集めた博覧会イベント「ワークショップコレクション」を開催している。一貫したテーマは、「つくる」。

 ここで扱うワークショップはみな能動的に作り、見せ、コミュニケーションを取るタイプの活動。造形、絵画、サイエンス、デジタル、電子工作、音楽、身体表現、映像、環境・自然。幅広い分野の創作・コミュニケーションの祭典だ。

 2004年、第1回開催時の参加者は500人。第9回には、来場者数が2日で10万人に達した。新しい学びの場を求める保護者が増え、活動に対する需要が年々急激に高まっていることを実感する。

 これからの多元的で新しい社会を築いていくのは、子どもたちの世代だ。世界中の子どもたちがつながって、新しい表現や、豊かなコミュニケーションを生み出し、新しい世の中を築いていってほしい。

 そのために大人ができること。それは場を作ることだ。政府、地方自治体、企業関係者、博物館・科学館関係者、学校・教育関係者、大学などの研究者、アーティスト、全ての方々との連携により、子どもたちがフルスイングできる環境を創り出している。

 帰りたくない!明日も来たい!子どもたちの目がキラキラと輝く新しい学びの場をこれからも創り続けたい。

ワークショップコレクションでの様子
ワークショップコレクションでの様子
コマ撮りアニメワークショップでの様子
コマ撮りアニメワークショップでの様子


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