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特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表村田 早耶香さん

村田 早耶香さん
「子どもが売られない世界をつくる」
Profile

村田 早耶香さん/特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表
1981年、東京生まれ。大学在学中の2001年、東南アジア訪問時に児童買春の深刻さを知り、02年に仲間とともに児童買春問題に取り組む「かものはしプロジェクト」を設立。カンボジアで、児童買春を防止するため、職業訓練と雇用により家庭の収入を向上させる雑貨工房を運営。05年日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006」リーダーシップ部門を至上最年少で受賞。
http://www.kamonohashi-project.net


 現在、私は、「かものはしプロジェクト」というNPO法人の共同代表として活動しています。

 かものはしプロジェクトは、「子どもが売られない世界」を実現するために、カンボジアとインドの売られる子どもたちの問題を解決するために活動しているNPO団体です。私がこの活動を始めたのはまだ19歳の大学生のときで、団体を立ち上げたのは20歳の2002年のころでした。

 私がこの問題を知ったのは、19歳のときに受けたフェリス女学院大学での国際問題の授業でした。その授業で聞いたのは、14歳で売春宿に売られたミーチャというタイの女の子の話でした。ミーチャは12歳のときにお母さんが亡くなり、お父さんと幼い弟2人のために、農村から都市部に出稼ぎに行った先で、売春宿にだまされて売られてしまいました。数えきれないお客さんを強制的に取らされ、毎日泣きながら暮らし、最期はエイズが原因で亡くなりました。彼女の最期の言葉は「学校に行って勉強してみたかった…」でした。

 ミーチャが亡くなったのは20歳で、当時19歳だった私とそれほど変わらない年齢でした。日本で大学生として暮らす自分と、家族のために出稼ぎに行った先で売られて、強制的に売春をさせられて、命を落としたミーチャ。生まれた国が違うだけで、こんなにも人生が変わるということにがくぜんとしました。

 その後、自分にできることを必死に模索し、図書館に行ったり、講演会に行ったり、大学の授業の一部の時間を借りられるようにお願いして、「子どもが売られる問題」についてプレゼンさせてもらったりしました。

共同代表の本木、青木と
共同代表の本木、青木と

 日本だけで活動していましたが、現場を見てみないと現状が分からないと思い、途上国支援の現場に初めて足を踏み入れたのが、19歳の夏休みです。そこで私はプアンちゃん(仮名)という5歳の女の子に出会いました。プアンちゃんのお母さんは、まだ10代のときにだまされて売春宿に売られ、彼女を身ごもりました。そのときにはお母さんはHIVウイルスに感染していて、プアンちゃんも母子感染によってHIVウイルス検査の結果が陽性でした。

 何も悪いことをしていない人が傷つけられているのを目の当たりにし、怒りがこみ上げてきました。こんな社会は間違っている。この社会を変えたい。と心から思い、この問題をなくすための活動を始めようと決意しました。

 そんなときに出会ったのが、現在の共同代表である青木健太と本木恵介です。彼らとは11年たった今でも活動を一緒にしています。

コミュニティファクトリーで働く女性たちと
コミュニティファクトリーで働く女性たちと

 かものはしプロジェクトでは、主に次の3つの取り組みを行っています。

(1)子どもを買う人を逮捕する
 子どもを買う人がいなければ、売られる子どもはいなくなります。子どもを買う人を逮捕し、罰することは問題を解決する有効な方法です。カンボジアでは警察が事件を摘発するための仕組みが不足していました。そこで、カンボジアの内務省、警察、ユニセフや他のNGOなどと協力し、警察支援を行っています。

(2)大人に仕事を、子どもに教育を
 家が貧しいと、子どもが売られるリスクが高まります。かものはしプロジェクトでは、「コミュニティファクトリー」を開設し、貧困層の人々に職業訓練を行い、仕事を提供しています。多くの人の自立を支援しています。

(3)売られてしまいそうな子どもを保護
 親を亡くしたり、病気で親が働けない子どもはストリートチルドレンになり、売られる危険にさらされています。最貧困エリアと呼ばれる地域に孤児院を設けて、子どもたちの保護を行っています。

 活動を始めてすぐのころ、カンボジアでは容易に子どもを買うことができましたが、今は10年前の10分の1以下になっています。

 しかし、世界にはまだ自尊心を粉々にされながら、身体や心に深い傷を負いながら、働かされている子どもがたくさんいます。売られてしまう世界の子どもたちを守りたいという思いは、活動を始めて11年たった今でも変わっていません。

 この活動を11年間続けられたのは、私たちの仲間になって、世界の子どもに思いを寄せ続けてくださる支援者の方がいらっしゃるからこそです。

 10年目を迎えた去年、活動地域をインドにも拡大しました。インドは我々が活動を始めた当初のカンボジアよりももっとひどく深刻な状況です。「子どもが売られる問題」は、根深くて本当に厳しい問題ですが、「この問題は解決できる」ということをカンボジアでの活動で学びました。

 今後も、1人でも多くの売られる子どもを守るために、活動を続けていきます。



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