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NPO法人STAND 代表理事/伊藤 数子さん

伊藤 数子さん
「すべての人が好きなスポーツをする社会へ」
Profile

伊藤 数子さん/NPO法人STAND 代表理事
2003年から電動車椅子サッカーなど競技大会のインターネットライブ中継を開始、誰もが明るく豊かに暮らす社会実現に向けて05年NPO法人STANDを設立。現在、ウェブサイト「挑戦者たち」( http://www.challengers.tv
の編集長として障害者スポーツの魅力を配信。総務省情報通信審議会専門委員、内閣府地域活性化伝道師なども務める。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ パラリンピックを目指すアス リートたち」(廣済堂出版)など。

 

いろいろなスポーツの体験会Sports of Heartを開催
いろいろなスポーツの体験会Sports of Heartを開催

 寒さも本格化して、いよいよウインタースポーツのシーズンインです。障害者スポーツアスリートたちも海外にどんどん遠征を始めました。

 日立ソリューションズという企業には障害者のスキー部があります。2010年のバンクーバーパラリンピックの金メダリストなど、世界トップクラスの選手を擁する名門スキー部です。その中にはチェアスキーといって、スキー板の上に椅子のようなものがついていて、座って滑ることができるクラスもあります。日立ソリューションズの受付では、選手たちの勇姿をビデオで紹介しています。

 ある日、この会社を訪ねた女性が受付に申し出ました。「このビデオを譲っていただけませんか?」。話を聞くと、女性には車いすのお子さんがいて、家にこもりがちなのだそうです。いろいろなところに連れて行こうとしても、なかなか外出したがらない。「こんなスポーツがあるなんて知りませんでした。上半身だけで、こんなに力強く滑ることができて、そして世界で戦っているなんて、本当にすごい。息子にこれを見せたらきっとスポーツをしたいと言うと思うんです。それはスキーじゃなくていい。何でもいいから、何かしたいって言ったら、私はどこにだって連れて行きます」。

スポーツは「見るもの」ではなく「するもの」

奈良淳平選手(左)とパートナーの森裕輔さん
奈良淳平選手(左)とパートナーの森裕輔さん

 私には奈良淳平という友人がいます。友人と言ってはおこがましい、高校3年生のイケメンです。彼は脳性まひという障害があり、障害者スポーツ競技の一つである「ボッチャ」の2011年日本チャンピオンです。現在はリオパラリンピックを目指しています。

 奈良選手はこう言います。「ボッチャに出合うまでは、自分はスポーツとは縁がないと思っていました。スポーツはただ見るだけのもの、と。でもボッチャと出合って変わりました。僕はスポーツをやっているんです。そしてその楽しさが分かりました。喜びを感じています」。

 ボッチャは、奈良少年にとってのスポーツを、「見るだけ」のカテゴリーから、「する」カテゴリーに変えたのです。

誰でも好きなスポーツを継続してできる社会へ

車いす競技
車いす競技

 このように、障害のある人は、自分ができるスポーツがたくさんあることを知る機会が少なく、スポーツは「見る」だけのものになってしまいがちなのが現状です。それも無理はありません。ちょっと前までは、障害のある人がスポーツをすることを誰も知らなかったし、考えもしなかったのです。脊椎損傷や頚椎損傷などで下半身がまひした人は医師がスポーツを禁じていたころもあったくらいです。

 しかし、時代は変わりました。少しずつ障害のある人がいろいろなスポーツをするようになりました。

 スポーツは障害の有無に関わらない、世界共通の文化です。すべての人がスポーツの素晴らしさに触れてもらいたい。「障害があってもなくても好きなスポーツを継続してできる社会」をつくっていきたいのです。そして障害がある人がスポーツだけでなく、自由にやりたいことにチャレンジして、大活躍する社会になるのも遠くないはずです。



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