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カービングアーティスト/平松 佳子さん

平松 佳子さん
「フルーツ・カービングの魅力」
Profile

平松 佳子さん/カービングアーティスト
1998年よりカービング教室開講。タイカービングの技法を中心に中華式野菜彫刻の要素も取り入れた作品を作る。国内の刃物メーカーと共同で、オリジナルカービングナイフを製作。「笑っていいとも!」「NHK首都圏ネットワーク」などテレビや雑誌に出演多数。
http://www.fruit-carving.com



「ウサギのお相撲 ハッケヨイ」(ニンジン)
「ウサギのお相撲 ハッケヨイ」(ニンジン)
イベント会場での展示作品
イベント会場での展示作品

 タイ料理が並ぶテーブルに、お花が刻まれたスイカやメロンが飾ってあるのをご覧になったことがあるでしょうか。

 これは「フルーツ・カービング」(または「ベジタブル・カービング」)と呼ばれるもので、タイ宮廷料理に700年以上続く伝統芸です。お皿に盛られた料理の横に、ニンジンやダイコンで作った花が添えられていることも。これらは食卓を華やかに彩るとともに、お客さまへのおもてなしの気持ちを表します。

 カービング(Carving)とは英語で「彫刻」を意味します。

 フルーツ・カービングは文字通り「果物の彫刻」。専用の小型ナイフを使って果物や野菜に繊細な彫刻を施します。その際、下書きをしないで、いきなりナイフで切り込んでいくのが特徴です。使う道具は基本的にこの専用ナイフ1本だけ。素材は、スイカ、メロン、リンゴなどなじみのある果物から、パパイヤ、マンゴーといった南国の果物までさまざま。ニンジン、ダイコン、キュウリなどの野菜もよく使われます。

スイカにバラの大輪と人物(ニンジン)
スイカにバラの大輪と人物(ニンジン)

 身近な果物や野菜が、ナイフ1本で、サクサクときれいなお花に仕上がっていく様は驚きとともに感動的でさえあります。

 私が初めてフルーツ・カービングを知ったのは、今から15年ほど前のことです。

 たまたま見ていたテレビ番組でフルーツ・カービングの実演と作品が紹介され、一目ぼれ。その美しさや繊細さもさることながら、見慣れた果物や野菜が普段と全く違う姿に変身することに、とても心惹かれました。

 完成品の華やかさとうって変わって、制作過程がとても地味なことも魅力的に感じました。全神経を集中させて黙々と手先のナイフを動かしていると、日常のいろいろなことを忘れて無心になれるので、今では私のストレス解消法になっています。

 アイデア次第で、いくらでも可能性が広がることも魅力の1つです。

リンゴのキャンドルスタンド
リンゴのキャンドルスタンド

 例えば、リンゴの表面にバラの花を作るとしましょう。手順通りに作れば花は作れますが、それをどのように飾るか、魅せるかで、リンゴのバラはさまざまな表情を見せます。リンゴのバラを眺めていて「これにリンゴの芯抜きで芯を取って穴を開けたら、おしゃれなキャンドルスタンドになるんじゃないかしら」。そんな思いつきで出来上がったのが「リンゴのキャンドルスタンド」です。

 失敗がきっかけで新しい作品が生まれることがあります。またカービング教室の生徒さんが発した何気ない一言がアイデアのきっかけになることも。日々の生活の中でアイデアの芽を探すのは楽しいものです。

 タイのカービングに加えて中華料理の飾りに使われる野菜彫刻の技術習得にも、数年前から力を入れています。龍、鳳凰、人物像をニンジンやイモ類で作ることによって野菜の表現範囲が大きく広がりました。

 食卓を囲んだ人々の気持ちが豊かになるような作品を、これからも作り続けていきたいと思っています。



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