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カリグラファー/小田原 真喜子さん

カリグラファー/小田原 真喜子
「カリグラフィーの魅力」
Profile

小田原 真喜子/カリグラファー
ニューヨーク滞在中にカリグラフィーと出会い、コミュニティカレッジにて学ぶ。帰国後、カリグラフィーの普及・後進の育成に尽力。90年「即位の礼」における席札を作成、00年ミキモト銀座本店にて初の個展を開催。『カリグラフィー本格的入門独習ブック』を始め、多くの著書を手掛ける。
http://www.makiko-office.jp



カリグラフィーとの出会いについて

 もう30年以上も前になりますが、主人の仕事の関係でニューヨークに住んでいたときに、西洋にも書道があることを知りました。

 当時、言葉や環境に慣れるためにボランティアとして、クリスチャンスクールで奉仕活動をしていました。寄付を募るためにイベントを開催するときに、インビテーションカードやお礼状などのグリーティングカードを手書きで制作する機会がありました。

 そのような中で、手書きとは思えない、すてきなカードに目が留まりました。それは特殊なペンを使って、フリーハンドで書くカリグラフィーでした。文字はそろっていて、美しく印象的に見えました。

 また、同じ言葉なのに、それぞれに持ち味が違って見えました。印刷した文字のように、同じものが同じように何枚もできるのではなく、よく見るとフリーハンドならではの書き手の風合いの良さが感じとれました。書かれた文字は、それこそ一点ものというのでしょうか、とてもすてきで感動的でした。これがカリグラフィー(西洋書道)との出会いでした。

教室風景

教室風景


カリグラフィーを書くためには

 専用のペンを使い、1文字1文字をフリーハンドで、アルファベットのストロークを練習していきます。最初は書くための目安となる角度・傾斜・高さなどの基準に従って練習をしていきます。練習を重ねていくことで、線の柔らかさやシャープさなども、より効果的になります。次第に、アルファベットもそろい、文字の流れが美しくなっていきます。さらに書き手の息づかいからくるリズムなども加わり、手書きならではの美しいオリジナリティーのある表現もできるようになるのです。

カリグラフィーとは

 カリグラフィーは、ギリシャ語で「美しい書きもの」を意味します。この起源は、古代、天災・疫病などの苦しみや紛争を解決するために神の力にすがった時代に、修道僧によって書かれた写本に始まるといわれます。ローマ帝国時代の発展にともなって、さらに大きく発展していきました。

 カリグラフィーも印刷機の出現により一時は衰退します。しかし、ヴィクトリア朝時代に、イギリスの美術工芸職人ウィリアム・モリスがカリグラフィーと草花のデザインで美しく装飾した本を出版したり、現代のカリグラフィーの祖となるエドワード・ジョンストンが登場したりしたことで、復活をみせます。世界史の流れとともに、人間の歩みの中で、文字文化として生き続けてきた歴史をカリグラフィーは秘めています。

日本での普及に際して

イタリック体バリエーション作品「小さなもの」

イタリック体バリエーション作品
「小さなもの」

 アメリカで習得したアルファベットのカリグラフィーの美しさを、日本でも普及しようと考えました。今でこそ生活の場面でカリグラフィーを見掛けますが、当時はまだ今ほど一般的なものではありませんでした。そこで、カリグラフィーが日常の暮らしの中に身近なものとして気軽に使ってもらえるようになってほしいと思いました。

 そのために、さまざまな試みを行いました。たとえば、押し花、トールペイント、チャイナペイントなどにカリグラフィーを用いるときは、それぞれの世界にふさわしい書体を選んで組み合わせて書いてみました。

 または布に文字を書いてみたり、刺繍にしてみたり、名前や好きな言葉を小作品にしてみたり、ウエディングボード、グリーティングカードに使用してみたり、それを手作りのマットと合わせて作品額に収めてみたり、ときには製本にしてみたりと。いろいろな楽しみ方のアイデアが考えられます。

 そしてこれまでに数多くのオリジナルデザインを制作し、著書にも紹介してきました。ウエディングボードもその1つです。今ではすっかりと定着して、その制作にはカリグラフィーが欠かせないものとなりました。専用ペンを使っての模様の描き方、また平筆を使ってリボンやバラ草花の描き方なども考案しました。絵具やカラーインクなどを用い、色も豊富に使うことで、作品に幅を広げていきました。

 いろいろな書体を覚えていただくために、オリジナルテキストも作り、カリグラフィーに関する用具も当初は直輸入して用意をしたものです。

グリーティングカード作品

グリーティングカード作品

これから

 これからは、カリグラフィーの文字に独自のバリエーションを加えて、さらに新しい世界を広げていきたいと思っております。

 現在は(株)日本ヴォーグ社のもとに、カリグラフィーの愛好者と指導者の会であるJFCC(日本フレンズ・オブ・カリグラフィー協会)を監修し、指導者のための講座を担当し、通信教育も制作しました。

 またカリグラフィーをお店のロゴに応用するなどデザイン分野からもお仕事をいただいております。

 調和の取れた作品をこれからも目指して頑張っていきたいと思っております。多くの方々に手書きの温かさに触れていただき、心をときめかせていただければ幸いです。



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