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ちりめん戯縫/森島 民惠さん

ちりめん戯縫/森島 民惠
「古布縮緬に魅せられ、導かれて」
Profile

森島 民惠/ちりめん戯縫
1991年、古布を使った作品コンクールに出品4年連続金、銀賞を受賞。1997年より本格的に作家活動に入る。同年、名古屋三越栄本店にて個展。その後、名古屋松坂屋本店にて個展ほか、各地で作品展、ワークショップ、教室などを展開。
ホームページ:http://www.yui.or.jp/chirimen
E-mail chirimen@yui.or.jp



立体作品 十二支「口上」

立体作品 十二支「口上」

押し絵作品 羽子板「書き初め」

押し絵作品 羽子板「書き初め」

 ここ数年古布が大変注目され人気を集めています。古布の洋服、吊し飾り、縮緬細工など古布を使った、さまざまなモノを目にする機会がたくさんあると思います。こと古布の縮緬に関しては爆発的な人気を集め、私もいろいろな柄の縮緬を探すのに大変苦労しているのが現状です。

 この道に入ったきっかけは、柿と金魚の琴爪入れをいただきカルチャーショックを受けたことでした。世の中にこんな鮮やかな色をした布があるのかと、それからは何かに憑かれたように、古布探しと作品作りの毎日に明け暮れました。

 私には先生がおらず、自分の作りたいモノを自分流に仕上げることで自分らしさを追求してきました。作品展のたびに「どなたか先生に習われたのですか?」とよく尋ねられます。そのたびに「先生は古布縮緬」と答えています。

 縮緬の柄は今まで1度として同じ図柄に出会ったことがないほど、バリエーションに富んでいます。縮緬の古布を眺めながら作品のイメージを決めるときが私にとってまさに至福の時間です。私の作品は動物を擬人化したモノが多く、日本の歳時記をテーマに制作したり、四季折々、季節ごとにテーマを決め制作をすることがほとんどです。日本の伝統文化、日本の四季など日本人の美意識を大切に表現したいと常に考えてきました。それを表現するのに古布縮緬の色、図柄、風合は最適なのです。古布に助けられ今まで続けてこられたと言っても過言ではありません。

 よく肩書きを聞かれるのですが、作品制作は押し絵、立体作品とさまざまでジャンルを決めず挑戦していきたいという思いから、勝手に「ちりめん戯縫」としています。ちりめんと戯れながら仕事をしていく、そんな想いが作品から感じ取っていただければ幸せです。

 作品の背景に使う柄はすべて古布縮緬に描かれている柄を使い自分では一切、手を加えていません。数年前、東海道五十三次の浮世絵を模写した男物の長襦袢に出会いました。その中から私が今住んでいる豊川のすぐ隣り豊橋の吉田城と吉田橋の柄を見つけ、半年以上かけ作品を制作しました。「吉田宿の初春」と題したこの作品は私にとって今まで古布縮緬と関わってきた中で、忘れることのできない大切な作品となりました。

 現在私が住まい兼アトリエとしているのはマンションなのですが、以前、作品依頼の中で「マンション住まいで、掛け軸を飾る大きな壁面がないから小スペースに掛けられる軸作品を作ってほしい」と言われ制作したことがあります。今では私のマンションのお正月の室礼も細長いコンパクトな掛け軸が毎年登場しています。

 日々変化し続ける日本人の生活にしっくりと合う作品作りも、私の仕事にとって伝承していく上で、大切なことだと思い知らされた作品作りでした。

 今現在、横浜、名古屋を中心に教室と年数回の作品展、ワークショップなどを展開していますが、教室に通ってくださる生徒さんたち、作品展、ワークショップに足を運んでくださる皆さん、そんな多くの方々から教えられることや刺激もたくさんあり、それらすべてが今の私にとって、どれひとつも欠くことのできない大切なものとなっています。これからの夢は古布縮緬の作品制作を通じ、もっとたくさんの人たちに世代を問わず古布縮緬の素晴らしさ、先人が残してくれた日本の文化の素晴らしさを知っていただく、そんな強い思いを持ちながら私のちりめん戯縫の旅はこれからも続いていきます。

「吉田宿の初春」

「吉田宿の初春」

コンパクトサイズ、マンションの壁などにぴったりの掛け軸「望月待月(もちづきまちつき)」

コンパクトサイズ、マンションの
壁などにぴったりの掛け軸
「望月待月(もちづきまちつき)」



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