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和紙アドバイザー/大奈路 はるみさん

和紙アドバイザー/大奈路 はるみ
「和紙を楽しく!」
Profile

大奈路 はるみ/和紙アドバイザー
高知県土佐市生まれ。明徳義塾高校からプール学院短大英文科。受付・コンピューター関係の仕事を退職後、結婚・子育て。 2000年から株式会社モリサに勤務、現在営業企画担当(HPの企画と対応、製品企画業務)。銀行員の夫、大学生を先頭に男2人・女1人の子どもと5人家族。2005年東商1級カラーコーディネーター(商品色彩)取得。
■和紙と紙雑貨のお店 LadyRisa: http://www.ladyrisa.com/
■株式会社モリサ: http://www.morisa.jp



カード類

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 和紙にどんなイメージを思い浮かべますか?「素朴」「暖かさ」「自然」…そのすべてが和紙であり、まだ知らない和紙の世界があるのかもしれませんね?

 実は私も和紙を全く知らない1人でした。1000年近く昔から和紙作りが行われている土佐の地で生まれ育ったのに、残念なことに仕事として扱うようになるまでは和紙のことを知りませんでした。

 ここ高知県土佐市には、仁淀川から引かれた美しい水を満々とたたえた用水路が町中に張り巡らされ、ときには子どもの水浴びの場や魚取りの場になって町を潤しています。子どものころから、この水は農業用水だと理解していたのですが、実は紙産業を支える命の水でもありました。昭和40年代までは町のあちこちに小さな手すき和紙工場が林立し、紙の原料である楮(こうぞ)や三椏(みつまた)の皮を洗う人も多く見受けられました。その様子や紙の原料のにおいを日常のこととして過ごし、和紙が生産されていることも友人の家で和紙の束を見ることも当たり前のこととして育ってきた私が、大人になってから外国からきた友人に「和紙の価値」を知らされたのです。

ラッピング

ラッピング


 子育ても半ば終えたころ、日本にやってきたニュージーランド人と親しくなりました。彼女は和紙に大変興味を持ち、和紙のことを教えてほしいと頼んできたのです。実は人に教えるほどの知識はなかったのですが、友人宅に手漉き工房もあり、二つ返事で工房の見学案内を引き受けました。その見学で初めて和紙の原料調達の苦労、すべて木や草で作られた道具のこと、冬場に行われる冷たい水に晒して原料から塵を取る作業など、1枚の紙ができるまでの労力を目の当たりにしたのです。そして、1枚の和紙ができるまでの工程すべてが「人の手と自然だけでできている」ことに気付いたのでした。これは大きな驚きでした。そして何より驚いたのが外国人からの大きな評価でした。長い歴史を経て今もほとんど変わらない工法で作り続けられていること、自然に根付いた産業であること、それを支える自然環境の素晴らしさ。われわれにとってむしろマイナーな要素であるようなことこそが「この地の財産である」と教えられたのでした。当たり前のように見てきた和紙作りの産業は素晴らしく恵まれた産業であるなんて!

ラッピング

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麻の葉

麻の葉

店内

店内


 それから数年もしないうちに知り合いから和紙工場で働かないか、という誘いを受けました。子育て前には会社受付やコンピューターの仕事をしていた私には、全く経験のない分野でしたが、和紙とその産業の価値に気付かされていた私は諸手をあげて受けました。

 それからは毎日がまさに発見の日々。薄くて美しい紙を作ることを得意としてきたこの会社の製品に丸ごとほれ込んでしまいました。

 そのときの素直な感動「今まで見たこともないこんなキレイな紙の存在を、日本中の人に教えたい!」、幸いなことにそれがそのまま現在の仕事になっています。

 今、高知でも手漉きで和紙を作る人材が減少し、弊社の紙も機械で製造していますが、それを強みに手漉きでは実現しがたい製品の開発に力を入れています。この地に伝わる伝統の工法を活かしながら、和紙では難しい印刷適性や多用途に使える紙を開発し、和紙の活躍の場を広めたいと尽力しています。また弊社の抄紙機は日本でも屈指の小ささ(?)で、その小ささゆえに小ロット・多品種に対応できます。新しい紙や製品の開発にはロットの大きさがネックになることも多いと聞きますが、幸いなことに坂本竜馬の時代から新しいもの好きの土佐人の気風と、この小さな機械のおかげで、クライアントとともに新製品を開発できる機会が多いのもこの仕事の楽しさです。

 入社して6年、営業・製造を経験し、昨年からは会社とオンラインショップの両HPを立ち上げ、文字通り、日本中、いや世界中の人に紙を紹介し、メールや電話で応対をしています。オンラインショップは、工場に併設する直売店「LadyRisa」(レディリサ)で地元の方にしか小売りをしていなかった弊社の「お客様窓口」です。広く一般の方からのご要望やご意見を直接取り入れられる貴重な場所。また新製品をいち早くご紹介したり、紙の使い方を提案したり…販売・集客という地の利には恵まれていない“田舎の企業”にとってネット上は都心のギャラリーのような存在でもあります。

工場前の鎌田井筋

工場前の鎌田井筋


 今はネットの力を日々実感しているところです。

 小さな田舎の紙作り工場のHPを見ていただき、個人・企業を問わずメールをくださる皆さまに、「素朴」「暖かさ」「自然」というイメージの和紙だけでなく、日常に活かせて楽しく・面白く・美しく紙を使っていただけるご提案ができれば心から幸せに思います。









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