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カービングクリエイター/濱口 知美さん

カービングクリエイター/濱口 知美
「微笑みの国のフルーツカービングに魅せられて…」
Profile

濱口 知美/カービングクリエイター
美術短大卒業後、デザイン会社に7年勤務。その後、派遣社員、Macオペレータ、コンピュータ専門学校の講師アシスタントを経て、 オンラインでロゴ制作の仕事も始めるが偶然目にしたカービングに魅力を感じ、仕事の傍らバンコクに短期留学を約4年間くり返す。 2004年8月 念願の長期滞在を決意し、渡泰。2004年9月 The 10th Culinary Gathering of Cooks & Chefs バンコク カービング個人部門 銀メダル受賞。2005年4月 10th Penang International Salon Gastoronomique 2005 ペナンカービング個人部門 金メダル受賞。現在、関西を中心にカービング講師として活躍中。
ホームページ: http://www.fvs.jp



模様彫り(スイカ) 白いバラ(大根)

模様彫り(スイカ) 白いバラ(大根)

フルーツカービングとは

 果物や野菜に専用のナイフ1本で花や繊細な模様を施すタイの伝統手工芸です。タイ語で『ケッサラックポラマイ』宮廷料理の飾り付けとして発達してきました。その起源は約700年前にさかのぼります。

 主に果物や野菜に彫りますが、石鹸に彫ることもあります。バンコクでは、年に数回カービングのコンテストが開催されています。チームで時間をかけて作り上げたものをディスプレイする団体部門と制限時間内で作品を仕上げる個人部門があります。ほとんどがプロのタイ人シェフによるもので手の込んだカービング作品が一同にディスプレイされた光景は圧巻です。

素敵な魔法

和風アレンジとレリーフ彫り(石鹸)

和風アレンジとレリーフ彫り(石鹸)

ウエディング装飾(カボチャの器、大根のバラ、オレンジ)

ウエディング装飾
(カボチャの器、大根のバラ、オレンジ)

カシミール模様(小玉スイカ)

カシミール模様(小玉スイカ)

バラとアスターのアレンジ(石鹸)

バラとアスターのアレンジ(石鹸)










 カービングの魅力は何といっても身の回りの何気ない物や素材が信じられない程美しい花や模様に生まれ変わるところです。しかも専用のナイフ1本でというところが驚きです。制作時間も何日も何ヵ月もかかりません。ほんの数十分から数時間でたいていのものなら仕上がります。そんな魔法のような技を身につけられたらなんて素敵なことでしょう。彫れる素材があるところなら国内外を問わず場所を選びません。長さ20cm弱、刃渡り3~4cmの小さな専用ナイフさえあれば、いつでもどこでもこの素敵な魔法を誰にでも披露できるのです。

観賞用としての果物

 カービングでできた花は、もともとの素材が何であったのか分からない程リアルです。それはカボチャが馬車に化けたくらいと言っても過言ではありません。もう1つ驚くのは、カービングができあがってゆく制作過程を見ること。見ているとナイフを縦に横に簡単そうに動かしているだけなのに見る見る大輪の花に変化していきます。いままでスイカは、半分に切って食べるかカットされたものを買ってくること以外あまり考えたことがありませんでした。ところがカービングではスイカの表面の緑と中の白から赤のグラデーションのコントラストを上手く利用し模様を彫っていきます。美しい色のスイカを食べるためではなく観賞用としても用いたタイの文化に感動しました。同時に私の中の常識が崩れました。その後、スイカは大きなカットより小さな1個、カービングした後は観賞して食べるという新たな日常にかわり、スイカを半分に切ることはほとんど無くなりました。

日本でのカービング

花びらが流れる動きのある模様(スイカ)

花びらが流れる動きのある模様(スイカ)

 残念ながら日本でのカービングの知名度はかなり低いです。タイに旅行されたことがある人でも知らない人がほとんどです。最近ようやくTVや雑誌で紹介されたりカルチャースクールの講座が増えたことで見たことがあるという方もちらほら。  カービングの完成度の高さにまさかこれが果物や野菜でできていると気付かなかったり、こんな難しいこと私には無理だわと諦めてしまったりとカービングがなかなか広まらない理由はいろいろあります。しかし見た目の難しさにひきかえ基本的に縦に切り込みを入れてななめにカットするといった実はとても単純な作業のくり返しなのです。模様によっては初心者でも簡単に作れる作品もあります。1度はまれば、毎日彫らずにはいられない程です。私も過去にはまった1人でした。彫ることが楽しくてたまらなくて、昼休みも惜しんで会社の机で黙々と石鹸を彫っていた程でした。周りから見ればちょっと変な人ですよね。

ライフスタイル

 私は、バンコクで習得した伝統的な模様を大事に伝える一方、日本のライフスタイルにあったカービングも伝えたいと思っています。例えばスイカやメロンをメインに生花とアレンジしてテーブルコーディネイトや結婚式などの装飾に、ソープカービングは、プリザーブドフラワーと一緒にアレンジして香のインテリアやギフトに。また陶芸や彫金に技術を応用したりと、カービングの可能性はまだまだ広がります。人に驚きと感動を与え、そして生活の中にちょっとした豊かさを与えてくれる素晴らしいタイの伝統工芸をライフワークとして素敵に伝えていきたいと思っています。

シルバーメダル受賞(お世話になったマリサの先生方と記念写真)

シルバーメダル受賞
(お世話になったマリサの先生方と
記念写真)

石鹸のレリーフグラスアレンジ

石鹸のレリーフグラスアレンジ

大胆なデザインでインパクトのある薔薇の花(スイカ)

大胆なデザインでインパクトのある
薔薇の花(スイカ)



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