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186号 注目の人 タレント 林 マヤさん

「動かなくては見つからない、自分探し、居場所探し」
林 マヤ/タレント
Profile

林 マヤ/タレント
長野県出身。
1980年代、ファッションモデルとしてデビュー。日本人モデルとして、初めてフランス版マリクレール誌に登場。パリコレクションの舞台にも立つようになり、一躍注目を浴びる。
1990年代より音楽活動にも力を入れ、CDを発売。
現在、タレントとして「おしゃれ工房」(NHK教育)、「ジャスト」(TBS系)に出演しているほか、元気で個性的なキャラクターを生かしテレビやラジオ、雑誌など多方面で活躍中。
著書に「林マヤの楽しいエッセイ&かんたんレシピ『マヤマヤの楽食的気持ち』」(近代映画社)がある。


夢見る少女からアフロヘアーに


 モデル時代の私をご存知の世代の方からすると、最近の“林マヤ”はかなり別人でしょうね。

 フランス版『マリクレール誌』に日本人初のモデルとして登場して、パリコレデビューし、逆輸入で『anan』に毎号出ていた時代のイメージからすると、ずいぶん違った印象だと思います。大口開けてケタケタ元気に笑って、言いたいこと言って、けっこう庶民派。“パリコレ出のモデルでございます!”って感じじゃないでしょ?(笑)どちらかというと、ナチュラル系で、素の自分に近い感じでいろんなお仕事をさせてもらってるのは、とても心地いいですね。でも、ここに至るまで、結構、いろいろあったんですよ。

 子ども時代は、ホントにおとなしい目立たない子だったんです。長野の田舎育ちなので、普段の話し相手は山や空、田んぼや畑。正真正銘のナチュラル系(笑)。空に浮かぶ雲を見ては「シュークリームみたい、おいしそう」とか「鳥みたい、空を飛べたらいいなぁ」なんて、どっちかっていうとメルヘン系の女の子だったんですよ。

 それが高校に入って、突如スケバン系になっちゃった。私、結構きつい天然パーマなんですね。入学早々、その天然パーマを見て先生に、「お前、パーマかけてるだろう!」って一方的に怒られて…。おとなしい当時のマヤちゃんがあまりの理不尽さにキレてしまいまして、怒りのあまりそのままパーマ屋さんへ直行。アフロヘアのようなパーマをかけて…。そこからマヤのスケバン時代が始まったんです。

 高校生のころの先生の一言って、大人の一言って、よきにつけ悪しきにつけ、結構子どもの転機になっちゃいますよねぇ。私、背が高いでしょう。スケバン系にすると、かなり迫力あるんです。結構怖いスケバン女子高生になりましたよ。車ひだのスカートを改造して床が掃除できるぐらいズルズルに長くして、どくろの絵を描いたマスクをかけたり…。格好だけは凄かったんですが、やってることはかわいいものでしたけれどね。

友人が開いてくれたモデルへの扉


フランス版マリクレール誌より

 高校卒業後は仲よしの同級生にひっついて上京して就職したんですけれど、仕事よりも都会の楽しさに夢中になって、就職先の国立の寮では門限破りの常習犯。ほどなく辞めまして、いろんなアルバイト生活をしながら都会暮らしを楽しみ始めたんです。何にも縛られず、自分のやりたいことを見つけようと、今のフリーターみたいな自分探しの時代でしたね。自由はあるけどお金はない状態。荻窪の風呂なしのアパートに住んでいて毎日銭湯に通っていたんです。

 そこである日、湯上りにお決まりのコーヒー牛乳を、刈上げ頭で男の子のように腰に手を当てて飲んでいると、すごくきれいでおしゃれな女性に「マヤじゃない!?」って声をかけられたんです。最初、誰か分からなかった。でもよく見ると、高校時代の仲間!でもそのときそこにいた彼女は、高校時代の友人とは別人のよう。とっても垢抜けていて、おしゃれのセンスもよくって、きれいで、ステキな大人の女性になっていた。話してみると、彼女は東京でモデルをしていて、2DKのマンション暮らし。今日は工事のためにお風呂が使えなくて銭湯にきた、って言うんです。もう、クラクラしました。“この差は何なの!?目の前にいる彼女は大人のいい女。私はアルバイト生活で風呂なし銭湯通い、刈上げ頭で男の子と間違われるような格好…”頭にくるというよりも強力に落ち込んじゃったんです。その様子が彼女にも伝わったようで、「マヤもきっとモデルになれるよ、背も高いし。事務所紹介するからおいでよ」って言ってくれたんです。それがモデルになるきっかけ。

認められなかった個性 冬のモデル時代

 友人の紹介でモデル事務所に入ったのはよかったのですが3年間、売れなかった。パンクファッションに憧れていたので、事務所に入ってもヘアスタイルは刈上げで、メイクはいつも黒っぽくて、マニキュアも黒。モデル撮影会に出ても、私の周りにはアマチュアカメラマンは誰も集まらず、営業の人と缶コーヒー飲んでおしゃべりして帰ってくるような状態。当時はまだパンクファッションもマイナーだったし、撮影会で人気があるのは、やっぱり女の子らしい美形で、ロングヘアー、巻き髪、フリフリのワンピース、というモデルたちだったんです。ショーのオーディションに行っても、「男のオーディションは明後日だよ」なんて言われる始末。モデルの世界にも私の居場所はなさそうだなぁ、と思い始めていたんですね。“どこにいったら私の居場所があるんだろう?”いろいろ考えて、それまで貯めた30万円を持って、パンクの本場ロンドンに行ってみよう。ロンドンならパンク少年や少女がいて、もしかしたら私の居場所が見つかるかもしれない、と事務所を辞めてロンドンへ向かったんです。

パリが見出した林マヤの個性


パリコレクション出演

 ロンドン行きの格安航空券はパリ経由。パリで観光の途中、カフェ・ド・マーゴというとってもおしゃれなカフェで、陶器からミルクとコーヒーをギャルソンに注いでもらってカフェオレを飲みながら、パリのきれいな景色を見ていたら、大柄な男性が私のテーブルに近づいてきたんです。「君、おもしろい顔してるね。僕とフォトしない?」と。日本ではモデル撮影会でも撮ってもらえなかった私だったのにパリは違う、なんて思いつつ、「お金くれるの?」と聞いたんです。するとその男性は、マリクレール誌のカメラマンでピーター・リンドバーグと。 後で分かったことですが、彼は世界で5本の指に入る超有名フォトグラファー。私はそんなすごい人だとは全く知らず、ロンドンに行ってからの旅費稼ぎと、パリで撮ってもらうのもモデルをしていた記念になるかな、という軽い気持ちで引き受けたんです。でもその撮影が、とっても楽しかった!一日に2カットぐらいしか撮らないゆったりしたスタイルで、とにかくピクニックのようで気持ちのいい撮影だったんです。初めてカメラの前で、自然にポーズを取れる感覚と楽しさを感じることができて…。

 結局、撮影のあまりの楽しさに、ロンドンへ行くことを忘れて1ヵ月パリで事務所に所属して、モデル活動をしていました。マリクレール誌の写真は評判を呼び、パリコレのデザイナーたちからショーに出ないかと誘われて、図らずもパリコレにもデビュー。そのニュースが日本にも伝わって、逆輸入する形で日本のファッション誌を飾るようになりました。

 動機は全然違っていたけれど、結果的に自分の居場所を探そうと動いていたことで、私は居場所を見つけることができました。じっとしていたのでは、チャンスは訪れなかったし、自分を好きになることもできなかったかもしれない。ジャンポール・ゴルチエさんが、「マヤの笑顔はひまわりのようだね」って言ってくださった。私は見てのとおり口が大きいし、笑うと歯茎が出るんです。日本にいたころはそれが欠点だとしか思えなかったので、思いっきり笑顔になることを避けていた。でもパリでは、私のこの豪快な笑顔を、みんながステキだと絶賛してくれるんです。

 ケンゾーさんのショーに出たとき、最後の花嫁衣裳マリエのところで、私を花婿役で使ってくださったことがあったんです。私の個性って、こんな発想を生むんだ!と思ったら、ほんとにうれしかった。それはもうおもしろいほど日本で否定されていた私の個性が、パリではみんな評価されて…。個性を認めるって、その人の存在を認めることなんですよね。

好きな物や人に囲まれて、自然体で暮らしたい


2002年9月25日JZ-Bratにて

 歌うことが大好きで、ジャズボーカリストとしての活動もしてるんです。

 あるときショーのBGMで、「テイク5」という曲が流れて、そのリズムに合わせてウォーキングしたときの感覚がとても印象的で、ジャズってカッコいい~!って、もう虜に。以来、鼻歌も、ジャズばっかり。

 ライブもときどきしています。私の場合、 トークがこんな感じなので、曲とおしゃべりのギャップが凄いんですが、それもまた、マヤマヤの世界と楽しんでもらっています。

 今年引越しをして、出窓のある部屋をマイルームにしたんですが、


2004年3月24日JZ-Bratにて

そこで星を見ながら歌うのが、今一番気持ちのいい時間です。こだわりの家具を少しずつ買い足しながら、だんだん居心地のいい部屋になってきています。ピアノの上にお気に入りのコーナーがあって、小さな幸せグッズを集めているんです。手のひらに握れる小物で元気をくれる、自分の感性で選んだ小物。例えば地球のように見える青いビー球とか、そんなものを。

 私はまだまだ弱いから、自分を励ましてくれる好きな人や物が必要なんです。小さな幸せを運んでくれるグッズ、もし、へこみそうになったときがあったら、みなさんにもおすすめですよ?

(林マヤ事務所にて取材)



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