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241号 キャスター・リポーター 東海林 のり子さん

「まだ食べられる、捨てないで!!」

キャスター・リポーター 東海林 のり子

キャスター・リポーター 東海林 のり子さん

東海林 のり子/キャスター・リポーター

さいたま市生まれ。立教大学卒業後、ニッポン放送に入社。13年間のアナウンサー生活ののち、フリーとなり「3時のあなた」「おはよう!ナイスデイ」の事件リポーターとして活躍。ロックバンド「X」のリポートで若者の支持を得る。近著「東海林のり子の人生Yesの法則」。

 昨年の半ばすぎだったか、夕刊を読んでいると、「25年前の缶詰試食した」の1行に目が止まった。エーッと思い読んでみると、驚いた。

 食品分析会社の職員の方たちが、古い缶詰などを試食してみると、さすがに25年前のものは金属のにおいがするので「捨てる」としたが、13年前の「ハッシュドビーフ」は「捨てずに食べる」という結果が出たというのだ。ほかの賞味期限切れの缶詰も「おいしく食べられる」。そして検査したところ、雑菌などの微生物は検出されなかったというのだ。

 缶詰の賞味期限は、ほとんどが「3年」といわれているそうだが、きちんと保存すれば、かなりの年月持つものだという。

 そこで、ハッとした。缶詰の底を見て、賞味期限が少しでも過ぎていれば、「もうダメ」といつも捨てていたからだ。長い年月、私は何十缶もの、まだ食べられる缶詰を捨ててしまっていたのだ。でも私だけではない、日本中の人々が…と思うと随分もったいないことをしているのだと、恐ろしくなった。

 綾小路きみまろさんのおしゃべりの中にこんなのがある。

 『中高年 鼻で確かめる 賞味期限』

 そう、昔はみんなそうしたのだった。私の母も、冷蔵庫からお肉を出して、鼻を近付けてにおいを嗅ぎ、「大丈夫」と言って調理したものだ。今は違う、食品には、賞味期限や消費期限が必ず付いていて、みんなそれに頼る。まだ食べられるのに、過ぎているから不安だといつも捨ててしまう。

 10年以上も期限の切れた缶詰が食べられると知って、目からウロコ!きっとほかにもあるに違いない。牛乳や卵や、数字に頼らず、考えてみよう、確かめてみようと思った。

 そして私は台所の棚を開け、隅の方に残っていた「シーチキン缶詰」を取り出した。それは5年前のものだった。どこの家にも1缶か2缶は、捨てられずに残っていると思う。

 13年前のものが大丈夫ならばと自信が付いた。缶を開け、シーチキンに細かく刻んだ玉ネギを入れ、マヨネーズであえて、塩、コショーして、シーチキンサンドを作った。

 「おいしくできたネ」の夫のひとことが、格別うれしく心に響いた。


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