Wendy-Net トップページ > 本音のエッセイ > BackNumber > 画家・作家 赤瀬川 原平さん

本音のエッセイ

BackNumber

204号 画家・作家 赤瀬川 原平さん

「自分が出しているもの」

画家・作家 赤瀬川 原平

画家・作家 赤瀬川 原平さん

赤瀬川 原平/画家・作家

1937年神奈川県生まれ。武蔵野美術学校中退。60年代に参加した「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」や、高松次郎、中西夏之らと結成した「ハイ・レッドセンター」を通じて、日本の前衛芸術の先駆的活動を行う。その後画家、イラストレーターとして活躍する一方、尾辻克彦のぺンネームで作家活動も始める。1986年、「路上観察学会」を結成。ほかに「ライカ同盟」、「日本美術応援団」の活動がある。著書に、『超芸術トマソン』(ちくま文庫)、『無目的』(光文社)など多数。


 最近、朝のゴミ出しに凝っている。うちの町では毎週2回。

 これは町によって制度が違うのだろうが、うちの町では去年から変わった。前は週3回、町内の一角に出していたのが、週2回、しかも有料で、出すのは各家の玄関前。

 これでずいぶん変わった。ゴミに対する意識が変わったのが大きいと思う。

 各スーパーの用品売り場に、市の作った有料のビニール袋が売られている。その中にゴミ税が含まれているのだが、金額的には全然気にならない。黄色地にいろんな注意書きなどがプリントしてあり、この材質が強い。前に買っていた市販のビニール袋は柔らかくてすぐ破れていたが、これはぎゅっと詰めても破れないので気に入っている。

 袋は大中小とあり、はじめは大を使っていた。でも有料制の効果か、袋がすかすかで余裕のあるまま結んで出すのはもったいないから、もっと詰めるゴミはないかと探す。そのうち大はぜいたくだと気付いて、うちでは中の袋に変えた。ぎゅっと詰めれば中の袋で十分。

 それにこの改正のとき、紙袋や包み紙などの雑誌類は再生の資源ゴミとして別の日に出すようになった。うちは仕事柄どうしても紙のゴミが出るので、それを別に出すとなると、生ゴミ類はまたぐっと減ってコンパクト化が進む。

 それと出す場所が各家の前というのも大きい。家の前というと玄関である。昔の邸宅の場合は勝手口という第2の入口があったりしたが、今はそれもぜいたくとなり、まずほとんどが玄関1つだ。その玄関にゴミ袋を出しておくのだから、やはりいいかげんにはできない。できるだけ小さくまとめて、はみ出さないようにきっちり結んで出すようになる。

 前みたいに町内の一角となると、どうしても出し方がぞんざいになり、そこがゴミ置き場という習慣が生まれて、通行人もそこにぽいぽい何か捨てたりしていたが、それがなくなった。やはり家の玄関となると、ぽいぽいは捨てられない。それが人情というもの。

 この変革が大きい。理屈ではなく、いやおうなく、おのずから、ゴミのコンパクト化が進んでいくのを感じる。ゴミというのは今の世の中ではもう避けては通れない問題で、他人ごとと思っているかぎりは解決しない。それを自分のこととしていく方法が、少しずつ見えてくる。ゴミをできるだけぎゅっとまとめながら、そんなことを感じている。


BackNumber

(無断転載禁ず)