管理に関するFAQ

その他

理事長の管理組合費の不正使用について

私が住んでいるマンションでは、理事長による管理組合費の使い込みがうわさになっています。あくまでもうわさなので、事実を確認したいのですが、どうすればいいでしょうか。

 管理組合費の不正使用を確認するには、会計帳簿などを調査する必要があります。会計帳簿の確認作業は、他の理事や監事に依頼することが可能です。特に監事は、理事会運営の適正を監査し、組合員に報告する権限と義務があります。
 仮に理事長による管理組合費の不正使用が判明したときは、理事長に弁済を求め、これに応じない場合には、訴訟にて不法行為による損害賠償請求を行う必要も出てきます。さらに、管理組合費の不正使用は横領罪にも当たるため、刑事告訴することも可能です。
 また、不正が行われた期間に理事を務めていた組合員も、場合によっては責任を負うことがあります。理事は管理組合と委任契約があり、管理組合に対して善管注意義務があります。理事長による管理組合費の不正使用を知りながら見て見ぬふりをすれば、重大な義務違反として責任を問われる可能性は充分にありうるでしょう。
 管理組合費は日常の営繕や大規模修繕工事等に必要で、快適な住環境の整備を行いマンションの資産価値を維持していく上で非常に大切なものです。各々が自覚をもって、適正な運営に努めることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年9月掲載

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事業主との広告塔の無償貸与契約は永続的か

理事長をしています。マンションの屋上にある広告塔を分譲会社が無償で使用しています。同社が広告塔を無償使用することは、分譲時の売買契約書や重要事項説明書に記載され、管理規約にも記されています。このまま永続的に広告塔を分譲会社に無償貸与しなければいけないのでしょうか。

 マンションを新築する際、分譲会社の社名やロゴなどの広告塔を設置する事例があることはよく見受けられます。このような場合、多くの分譲会社は、分譲時の売買契約書や重要事項説明書、管理規約に記載の容認事項などに、分譲会社による広告塔を設置するために、共用部分の無償使用を承認する旨を記載し、マンション購入者の承諾を得ていることが一般的です。
 本問では、広告塔を設置した共用部分の無償による専用使用(民法第五九三条 使用貸借に該当する)が永久に継続できる権利か否かが争点となります。
 過去の判例では、次のような判断がされています。
(1)たとえ分譲時に、売買契約書や重要事項説明書、または管理規約などで事業主に対する広告塔の無償貸与(使用貸借契約の締結)を約束していたとしても、これは永続的に続くものではない。
(2)一定期間経過後は、広告塔の使用を終了するか、使用料を支払う賃貸借契約に変更するかの対応が必要である。
 その理由は、共用部分に対する区分所有者の経済的負担と分譲会社の経済的利益とに不公平があるとすれば、社会通念上において相当ではないと思われるからです。
 なぜなら、分譲会社が共用部分を無償使用することによる経済利益を上げ続ける一方で、区分所有者が生活上の利便性の向上などもないのに、分譲会社に対して無償使用させ続ける法的利益を認めることは、健全な社会通念を逸脱しているといえるからです。
 このように、分譲会社が共用部分である屋上を無償使用して広告塔を建てているマンションがある場合には、いつまでもマンション購入者の経済的負担に甘んじるのではなく、相応の経済的負担を負う必要がありますし、分譲時においては、無償使用の期限など(例えば、無償期間を三年間とする、全戸の分譲が終了した場合)を明確に規定し、将来の無用なトラブルを避ける必要があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年12月掲載

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携帯電話基地局を屋上に設置するには

理事長をしています。携帯電話会社からマンションの屋上に携帯電話基地局を設置させてほしいとの申し入れがありました。設置に当たっては(屋上を借り受けるための)賃借料も支払っていただけるとのことで、理事会としても前向きに検討したいと考えていますが、管理組合としてはどのような手続きが必要ですか。

 携帯電話基地局をマンション共用部分である屋上に設置する行為は、「共用部分の変更」に当たります。
 区分所有法では、「共用部分の変更」は原則として、区分所有者および議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議(特別決議)としていますが、例外的に、共用部分の形状または効用の著しい変更を伴わない場合においては、区分所有者および議決権の各過半数による集会の決議(普通決議)と定めています。
区分所有法〈抜粋〉
(共用部分の変更)
第一七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
(共用部分の管理)
第一八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。 
 お問い合わせのケースでは、分譲マンションの屋上に携帯電話基地局を設置することが、共用部分の形状または効用の著しい変更を伴うことなのか、また、専有部分の使用に特別の影響を与えることなのかが問題となります。
 一般的には基地局を設置したとしても建物の外観に著しい影響を与えているとはいえず、過去の判例でも、『基地局の設置は屋上の形状や効用に著しい変更が生じるとはいえず、また専有部分に特別な影響を与える事実はないとし、共用部分の管理に関する事項として普通決議で足りる。』との判断が下されたものがあります(平成二一年二月二八日 札幌高裁)。
 しかし、設置される基地局の荷重によっては、建物の構造に悪影響を与える可能性もありますので、事前に専門家に相談し、建物の構造上問題ないことを確認した上で総会の議案とするのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年5月掲載

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不要になった積立金を各区分所有者に返還できるか

理事長をしています。テレビ電波のデジタル化(地デジ化)が完了し、当マンションが周辺住宅へテレビアナログ電波を供給するために保有していた電波障害対策施設が不要となりました。そこで、当該施設の維持管理費用としてこれまで各区分所有者より徴収していた積立金を、組合員へ返還することを検討しています。返還することに何か問題はありますか。

 管理組合に積み立てられている維持管理費用を各区分所有者に返還することは、区分所有者全員が共有する管理組合の財産の処分に当たります。区分所有法では財産の処分について特段の定めがないため、民法の規定に基づいて区分所有者全員の合意が必要です(民法第二五一条)。
民法第二五一条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
 なお、国土交通省が作成したマンション標準管理規約では、「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない」と定めています(標準管理規約第六〇条五項)。マンションでは、快適な住環境を確保し、資産価値の維持・向上を目的として管理費や修繕積立金等を徴収しており、この目的はマンションが存続する限りにおいて永続的なものだからです。この趣旨に従うと、本問のケースでは、積み立てられた維持管理費用は、管理費や修繕積立金等の他の費目に移して、将来の維持管理や修繕に備えることが望ましいといえるでしょう。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年8月掲載

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監査を外部の専門家に依頼することは可能か

理事長をしています。当マンションでは会計監査業務について、公認会計士などの外部の専門家に監査を依頼することを検討しています。このようなことは可能なのでしょうか。ちなみに当マンションの規約は、標準管理規約に準じています。

 標準管理規約では、第四一条一項にて「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査する」とされていますが、第三五条二項において「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と記載があるため、組合員以外の者を監事として選任することはできません。
 従って、今回のケースでは、標準管理規約第三四条の「専門的知識を有する者の活用」が考えられます。同条では「管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」と定められていますので、専門的知識を有する者に監査の援助を求めることができます。
 なお、公認会計士に監査の援助を依頼すれば、費用がかかりますので、外部の専門家に監査を依頼することおよび報酬金額について総会で事前に承認を得ておくのがよいでしょう。その場合、具体的な依頼先については理事会決議で問題ないといえるでしょう。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2014年7月掲載

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