管理に関するFAQ

管理業務の委託

管理委託契約更新時の重要事項説明について

理事長をしています。管理会社より管理委託契約の更新に伴う重要事項説明実施の申入れがありましたが、従前の契約と同一条件での契約更新のため、区分所有者全員への説明会は不要とのことでした。この場合の「同一条件」とはどのような条件をいうのでしょうか。

 マンション管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」といいます)では、管理会社が管理組合と管理委託契約を締結(契約更新も含む)する場合、事前に管理組合に対し重要事項説明を実施することを義務付けています。
 この重要事項説明は原則として管理組合の管理者(一般的には理事長)および区分所有者全員に対して説明会を開催して行う必要がありますが、例外として、管理委託契約の更新において従前の契約と「同一条件」での更新にあたるときは、説明会の開催を必要としないこととされています。これは、管理組合と管理会社との管理委託契約の内容が、更新前の契約内容と同一とみなされるものが多いことに起因しています。
 説明会の開催を必要としない「同一条件」とされる契約更新とは、従前の契約内容と全く同一内容の契約はもちろん、そのほかにも、次に掲げる内容に関する変更についても「同一条件」での更新とされています。
(1)管理会社の商号・名称・登録番号・登録年月日を変更する場合
(2)管理委託契約と業務内容・実施方法は同一であるが、委託業務費を減額する場合
(3)従前の管理委託契約に比べ業務内容・実施方法の範囲を拡大するが、委託業務費を据え置くか、減額する場合
(4)従前の管理委託契約より、委託業務費の支払時期を後に変更(前払いを当月払いもしくは後払い、または当月払いを後払い)する場合
(5)従前の管理委託契約より、更新後の契約期間を短縮する場合
(6)管理委託契約の対象マンションの所在地の名称が変更される場合
 これらの事項は、管理組合にとって不利益となる事項ではないと解せられ、改めて、説明会を開いて業務内容を理解する必要がないと考えるからです。
 いずれにしても、重要事項説明の実施は、適正化法により管理会社に課せられた義務ですが、管理組合にとって、組合運営のパートナーとなる管理会社との管理委託契約の締結は非常に重要なものですので、契約の締結時(または更新時)においては、重要事項の説明を受け、管理会社が行う業務内容についてよく理解しておくことが大切です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年5月掲載

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管理会社が他の管理会社に吸収合併された場合は

理事長をしています。マンションの管理を委託している管理会社が、他の管理会社に吸収合併されたとの通知を受けました。今後の管理組合と管理会社との委託契約はどうなるのでしょうか。

 管理組合と契約している管理会社が他の管理会社に吸収合併された場合、従前の管理会社は消滅(解散)となります(会社法第四七一条第四号)。
 そして同法第七五〇条では『吸収合併存続会社(以下、存続会社)は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(以下、消滅会社)の権利義務を承継する。』とあります。したがって、管理組合と消滅会社との委託契約は、吸収合併の効力発生日をもって、当然に存続会社が引き継ぐこととなります。また、国土交通省が定めるマンション標準管理委託契約書においても、合併による管理会社の消滅は契約の解除事由に含まれていません。
 管理組合と管理会社との委託契約がマンション管理の適正化の推進に関する法律の適用を受ける契約である場合においても、吸収合併は存続会社が消滅会社の権利・義務の一切を包括承継することから、存続会社は改めて管理組合と委託契約を締結する必要もなく、重要事項説明をする必要はありません。
 なお、事業譲渡により管理組合との委託契約上の地位が新旧の管理会社間で承継される場合、新管理会社による重要事項説明が必要です。 
 事業譲渡は特定承継であり、旧管理会社と管理組合との委託契約に係る権利・義務がそのまま新管理会社に承継されるものではないためです。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年1月掲載

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重要事項の説明後に契約金額を変更した場合、改めて重要事項の説明は必要か

管理会社を変更することになり、新委託先として内定したマンション管理業者から重要事項説明を受けました。その後、理事会で検討し、管理委託費用の値引きを要請しています。この要請が認められ、契約金額が変更となった場合、改めて重要事項の説明を受ける必要がありますか。

 重要事項の説明は、管理委託契約締結の前に、マンション管理業者が管理委託契約に係る重要な事項(管理仕様、契約金額等)を説明することによって、管理組合に契約内容の検討や理解の機会を与えるために実施するものです。したがって、重要事項の説明後に、管理組合からの要請により契約内容を変更することとなった場合、マンション管理業者は改めて重要事項の説明を行う必要はありません。
 ただし、管理委託契約締結後に契約内容を変更する場合、マンション管理適正化法第72条(重要事項の説明等)に基づき重要事項の説明が必要となります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2015年9月掲載

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契約期間途中における管理委託契約の終了について

理事長をしています。管理委託契約に基づき管理会社より配置されている管理員について、仕様書に記載されている業務上の不履行はありませんが、勤務態度などに不満があり、また全般的に満足度が低いことから管理会社を変更しようと考えています。しかしながら、契約を更新して3カ月しか経過しておらず、契約期間があと9カ月残っており、管理委託契約書には中途解約の定めがありません。管理会社を変更するためには、あと9カ月待たないといけないのでしょうか。

 管理事務の委託契約の性質は、民法第643条に規定する委任契約の性質に当たると考えられ、委任の規定が適用されることとなります。
 そして、民法第651条第1項に「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」とあることから、契約内容に中途解約の定めがなくとも、管理組合は委託契約を終了させることができます。
 ただし、民法第651条第2項に「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない」と規定されています。例えば、前の管理会社は、新たな管理会社に管理業務を引き継ぐなどの業務を行う必要があることから、契約解除までにその時間的余裕がないことによって発生する管理業務上の損害について、管理組合は前の管理会社に対して賠償責任を負うこととなります。
 なお、国土交通省が示している標準管理委託契約書第19条(解約の申入れ)では、「(前略)、甲(管理組合)及び乙(管理会社)は、その相手方に対し、少なくとも3月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる」とあり、契約終了に伴う管理事務の引継等を合理的に行うのに通常必要な期間を3カ月間としています。
 これらにより、契約上に特段の定めがある場合を除き、3カ月間の猶予をもって契約終了の申入れをすれば管理委託契約を終了させることができると考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2016年10月掲載

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通帳の保管者の変更について

このたび、理事長に選任されました。管理組合口座の届出印と通帳の保管状況を確認したところ、届出印は管理組合が保管し、通帳は管理会社が保管していました。大切な管理組合の財産ですので、通帳も管理組合で保管したいのですが、どのような手続きが必要でしょうか?なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

 管理組合口座の通帳を管理会社が保管しているのは、管理組合との管理委託契約によるものです。通帳の保管者を管理会社から管理組合に変更することは管理委託契約の内容変更を伴うため、総会の決議が必要です。
 また、マンション管理適正化法において、通帳の保管者の変更は契約条件の変更とされることから、総会決議に先立ち、管理会社による重要事項説明会の開催も必要です。
 管理組合の通帳残高はマンションの規模によっては数億円以上に達することもあります。届出印と通帳を両方とも管理組合で保管することは、結局は盗難や役員の不正等による財産の毀損の責任を保管責任者の役員個人に帰することとなります。これだけの金額ですと、多くの場合、万が一の盗難・不正等の事態が発生したときには到底個人で賠償できる規模ではありません。
 マンション管理適正化法および関係規則・省令により、国土交通省登録のマンション管理業者には管理組合の財産の管理方法が詳細かつ厳格に定められており、必要に応じて保証措置を講じることも義務付けられています。
 こうした背景から、「役員等による個人管理」よりも法律で規制を受けた「マンション管理業者」に通帳の保管を委託する方法がより安全・安心であるとして、届出印を管理組合で、通帳を管理会社で保管する運用が一般的です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2017年9月掲載

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