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管理に関するFAQ

専有部分のトラブル

専有部分にある防火設備の管理について

消防点検を行った際に、ある住戸の感知器に故障が見つかり修理を行おうとしましたが、「専有部分であるから、管理組合は関係ない。立ち入ってもらっては困る。」と言われました。専有部分にある防火設備の管理はどのように考えればよいのですか。

専有部分にある感知器は共用部分に属する物かどうかという問題ですが、感知器の保守管理を個人の責任とした場合、その点検を怠り、感知器を取り外すといった不都合が生じるおそれがでてきます。また感知器は、管理室などに設置された受信機との連動をチェックする必要があり、個人がそれぞれに点検することは、実際上は困難です。
 よって、感知器を含め防火設備は共用部分とされ、共用部分の管理と一体として管理組合が保守管理するのが一般的です。区分所有者に理解を求め修理や点検に協力してもらってください。
 また、火災を起こした場合、当事者は失火法によれば、失火の場合には民法第七〇九条の規定(不法行為)を適用しないことを規定していますが、失火者に重大な過失がある場合には失火法を適用しないことになっていますので、本問のように感知器の故障の修理をさせず、火災が発生して隣室を延焼させた場合には、失火法が適用されず、法的責任を問われる可能性があります。 
 次に、専有部分にある感知器が共用部分に属するとした場合、専有部分への管理上の立ち入りについては、国土交通省が、管理規約を定める場合の指針として定めたマンション標準管理規約第二三条では、「管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求でき、請求された者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない」とあります。したがって、当事者は正当な理由がない場合には立ち入りを拒否できないのです。
 ここに「専有部分であるから、管理組合は関係ない」との区分所有者の言い分は、防火設備は共用部分と解されますので、正当な理由とはいえず、立ち入りを拒否できないことになります。
 しかし、仮にこのような規約があっても、実際に専有部分への立ち入りを拒否された場合には、管理組合が強制的に立ち入ることはできません。これは消防署の行う査察であっても同様です。
 通常は、区分所有者が立ち入りを拒まれる理由は、居室を他人に見せたくないというのが真意と思われますので、区分所有者を説得して、区分所有者の都合に合わせて立ち入るようにしてください。ただし、バルコニーの避難ハッチについては、バルコニーが共用部分であることから、事前の予告を行うことにより、上階より立ち入り点検をすることができます。
 また、火災発生時、または、火災発生、または延焼が避けられないと判断される時は、消防隊はドアを壊すなどして立ち入り、消火活動を行うことができるのは当然のことです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2002年12月掲載

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排水管にヒビが入り、階下に漏水した場合の責任、示談書について

私の住戸のフローリングと床スラブの間にある排水管にヒビが入り、そこから階下に漏水しました。理事長より階下の方の壁紙などを補修するため、管理組合で加入している保険を利用するので、示談書に署名捺印をしてほしいと言われました。その示談書で、私は加害者となっており、そのことに納得がいかないので、署名捺印を拒否しました。私は示談書に署名捺印しなければならないのでしょうか?

 まず、その排水管が専有部分かどうかということですが、これは管理規約によります。標準管理規約の第七条三項によると、「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする」とあります。ここでいう「専有部分の専用に供する」か否かは、設備機能が各住戸の専用のものか、共用のものかにより決定します。具体的には、配管、電線などの本管(線)は共用部分であり、枝管(線)は、専有部分と考えられます。ただし、枝管でも共用部分内(床スラブの中など)にある場合は共用部分となります。本件では、その排水管は、フローリングと床スラブの間ということですから、専有部分と考えられます。次に責任について考えると、民法第七一七条によると、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じた場合、第一次的には、その占有者が責任を負い、占有者が過失のないことを証明した場合には、所有者が責任を負うことになっています。この所有者の責任は自分に過失がないことを立証しても責任を免れることはできません(無過失責任)。
 つまり、今回のケースでいうと、この排水管が専有部分となっている規約であれば、あなたはその排水管の所有者となり、占有者として過失がないとしても、所有者としての責任があり、加害者の地位を有することになります。よって、階下の方に対し、損害賠償責任を負うことになり、そのために管理組合が保険に加入しているのです。
 最後に示談書に署名捺印をしなくてはいけないかということですが、示談書とは民事上の紛争に関し、裁判によらずに当事者間に合意が成立したことを証する書面です。つまり、示談書に署名捺印をしないということは、合意をしないということになります。よって、被害者の方より裁判による決着を求められる可能性があります。
 法的には示談書に必ず署名捺印しなければならないということはありませんが、このようなトラブルの際に円満な解決を行うために保険に加入しているわけですから、示談の内容をよく確認して、加入する保険を利用して損害の賠償を行うことが一番の解決策と思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2003年8月掲載

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火災による被害者に対する損害賠償義務について

分譲マンションの八〇二号室の賃借人であった者ですが、仏壇に供えていたろうそくが倒れ、火災が発生し、住んでいた八〇二号室と隣の八〇一号室を焼失してしまいました。この場合、私の損害賠償範囲はどこまであるのでしょうか。

 失火による被害者に対する損害賠償義務ですが、これは明治三二年に制定された『失火の責任に関する法律』に明確に定められています。制定当時は、木造家屋が多く、家が建てこんでいる住宅環境であったため、延焼範囲が広がりやすく失火者の損害賠償能力をはるかに超えてしまうために、失火者の救済保護を目的としてこの法律が制定されました。
 この法律によると、「民法第七〇九条(不法行為)の規定は失火の場合には適用せず。ただし、失火者に重過失あるときはこの限りにあらず」と規定し、通常の過失による場合には損害賠償責任はなく、重過失がある場合に限り延焼した被害者に損害賠償することになります。重過失とは「わずかな注意さえすれば、簡単に違法有害な結果を予見できたのに漫然と事態を見過ごした場合」のことをいい、本件の場合は簡単に結果を予見し難く、漫然と事態を見過ごした訳でもないですから、重過失があったと認められず、一般的には延焼については(八〇一号室については)損害を賠償する義務はないといえるでしょう。
 しかし、賃貸借契約を締結している場合で、賃貸人(家主)に対して失火による被害を与えた場合は『失火の責任に関する法律』が適用されませんので、賃貸人である八〇二号室の所有者に対する損害を賠償しなければなりません。これは賃借人が賃貸人に対し賃貸借契約上負っている原状回復義務・善管注意義務が果たせなくなり、賃貸借契約の債務不履行になってしまうからです。よって、たとえ失火の原因が重過失によるものでなくても、八〇二号室の所有者に対して損害賠償責任を負わざるをえないといえます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2003年10月掲載

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専有部分への立ち入りについて

先日、私の区分の天井から漏水がありました。管理会社と保険会社が、漏水の原因を調査するために、上階へ立ち入りさせてもらいたいのですが、プライバシーの侵害だと言って立ち入らせてもらえません。上階の専有部分が原因なのか、共用部分が原因なのかは上階に立ち入らないと分からないようです。このような場合、どうすれば良いのでしょうか。

 区分所有法第六条第二項には、「区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、または改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる」とあり、本問のように、天井から漏水があり、階下の区分所有者や管理組合役員から専有部分への立ち入りを求められた場合には、その原因を究明するために、立ち入りを拒否することはできないでしょう。
 この場合、プライバシーの侵害だけでは、正当な理由とは言えませんし、あくまでも立ち入りを拒否され、これを放置して被害が拡大した場合には、上階の区分所有者の不法行為になる可能性があり、損害賠償保険の対象にならず、直接損害賠償の請求を受けたり、保険会社から保険会社が支払った損害賠償金の請求(これを求償といいます)を受ける可能性があることなどを説明して、立ち入らせてもらうようにするのが良いでしょう。
 そして、立ち入らせてもらう場合には、誰しも他人に自己の居室を見られるのは嫌なことですので、立ち入る居室の整頓などを準備するために、立ち入る日時や場所を具体的に話し合う必要があります。
 また、立ち入る人は、階下の区分所有者と工事業者だけに任せるのではなく、上下階の区分所有者が険悪な関係にならないように配慮する必要があり、管理組合の役員が立ち会うのが良いでしょう。
 いずれにしても、管理組合と上階の区分所有者、上下階の区分所有者間で法的紛争にならないようにすることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2007年3月掲載

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複合用途型マンションの店舗騒音について

理事長をしています。当マンションではカラオケ店が営業(深夜営業も行っている)しており、深夜の騒音に対する苦情が出ています。管理組合としてどのような対応をとれば良いでしょうか。管理規約では、マンションの一・二階部分を事務所または店舗として使用することを認めています。

 区分所有法では、区分所有者は建物の保存に有害な行為、その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはいけないと定められています(区分所有法第六条第一項)。
 お問い合わせの店舗が通常の営業行為の中で、住民の許容できる限度を超えた騒音などを発している場合、共同の利益に反する行為ととらえることができるでしょう。
 この場合、管理組合は共同の利益に反する行為の差止めを請求することができます(同法第五七条)。また、当該行為により区分所有者の共同生活上の障害が著しい場合には、専有部分の使用禁止を求めることも可能です(同法第五八条)。
 これらの請求は、総会の決議によって訴訟を提起することが可能ですから、管理組合で対応を協議され、相手方と騒音対策を話し合って対処されてはいかがでしょうか。
 また、将来同様のトラブルが再発しないよう、店舗を目的とした専有部分の使用を禁止または店舗の業種・営業時間を制限するなど、管理規約の整備を検討されても良いのではないでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2009年9月掲載

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自宅で学習塾を開設することは規約違反にあたるか

理事長をしています。区分所有者から「自宅で学習塾を開設したいので許可してほしい」との申し出がありました。当マンションの規約では「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と定められていますが、自宅で学習塾を開設することは規約に反することになりますか。

 マンションの区分所有者は、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法第六条第一項)をしない限り、専有部分をどのような用途にも使用できるのが原則です。
 しかしながら、多くのマンションでは、規約で「専ら住宅として使用する」というように専有部分に用途制限が加えられています。この場合、専有部分の用途が「専ら住宅として使用する」にあたるか否かは、居住者の生活の本拠があるか否かによって判断されることになり、さらに、生活の本拠で有るために必要な平穏さを有することも求められます。
 本問が具体的に規約に違反するか否かは、次のような基準で判定する必要があります。
(1)個別指導などの形態で極少人数を対象に自宅で指導する場合は、他の住戸に特別な影響を与えるものではないので、問題ないでしょう。
(2)一般的な学習塾でも少人数では問題ない場合もあるが、やはり規模や人数、時間帯や頻度などを考慮して判断する必要があり、住宅地にあるマンションでは用途制限に違反する場合も出てくるでしょう。
 いずれにしても、住宅の使用方法の良し悪しを定義づける客観的な基準を設けることは困難です。マンションの実情に応じて、規約や細則で、用途制限に違反する営業行為等の判定基準を定めておくのも一つの方法です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年9月掲載

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