管理に関するFAQ

管理費の滞納問題

管理費等の滞納分について前所有者に請求できるか

競売で分譲マンションの一区分を購入しました。前所有者の管理費等滞納分について管理組合から請求がきたので、管理組合に納入しました。私が支払った管理費等の滞納分を、前所有者に請求できるでしょうか。

 新所有者が前所有者の滞納管理費等を管理組合に納入した場合、新所有者は前所有者に対して求償することが認められています(東京高裁判決 平成一七年三月三〇日)。
 ただし、前所有者が破産している場合は、破産法に基づく免責が適用されます。
(1)滞納管理費等が免責される場合
・破産手続き開始決定前に発生した滞納管理費等は、免責されます(破産法第二条第五項に定める「破産債権」に該当します)。
・競売物件が破産管財人の管理下にある期間に発生した滞納管理費等は、免責されます(破産法第一四八条第一項第二号に定める「財団債権」に該当します)。
(2)滞納管理費等が免責されない場合
・競売物件に余剰価値がない等の理由で破産管財人が財産放棄し、競売物件が破産者の財産に戻った場合、それ以降に発生した滞納管理費等は、免責されません(破産法第七八条第二項第一二号に定める「自由財産」に該当します)。
 よって、新所有者より破産した前所有者に求償できるのは、上述の(2)に該当する滞納管理費等に限られますので、前記所有者が破産をしている場合は注意をしてください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年4月掲載

質問の一覧に戻る

駐車場使用料金滞納者の駐車車両を撤去するには

理事長をしています。マンションの駐車場契約者(使用者)が、駐車場使用料を滞納しており、督促しても入金がありません。駐車場使用契約書において、使用料の滞納があった場合は契約を解除することができる旨が定められているため、使用者に対し契約解除を通告し、駐車場を明け渡さない場合には駐車車両をレッカー移動することを検討していますが、具体的にどのような手続きを取ればよいでしょうか。

 駐車場使用契約書の定めに基づいて、使用料の滞納を理由に駐車場使用契約を解除することは何ら問題はありません。この場合、契約解除された使用者は直ちに駐車場を明け渡さなければなりません。
 ただし、契約解除された使用者が駐車場を明け渡さない場合に、管理組合が車両のレッカー移動を行うことは、お勧めできません。といいますのも、このような司法の手続きによらずに自己の権利(敷地利用権)を回復する行為は、民事法の概念で「自力救済」とされ原則禁止されているためです。また、管理組合がレッカー移動を行えば、車両の使用を制限したということで、逆に使用者より損害賠償請求を受ける恐れすらあります。
 お問い合わせのケースでは、次のような手続きをとればよいでしょう。
(1)駐車場使用契約書に基づき、駐車場契約解除を通告する。
(2)区分所有法第五七条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)第一項の規定に基づき、使用者に対し駐車場の不当使用行為の停止を要求する。
(3)区分所有法第五七条第二項の規定に基づき、使用者に対する駐車場明け渡し請求訴訟を提起する。
(4)裁判で債務名義(勝訴判決)を取得後、裁判所にレッカー移動等による車両の排除(強制執行)を申請する。
 実際に手続きを進める場合には、管理会社や法律事務所等に相談しながら進めていくのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年6月掲載

質問の一覧に戻る

水道料金滞納者への給水を停止するには

理事長をしています。当マンションでは、管理組合が水道局と一括契約をしてマンション全体で使用する水道料金を管理組合より支払い、各住戸には使用量に応じて管理組合が請求する方法をとっています。ところが、ある住戸が水道料金を滞納し、再三の督促にもかかわらず支払わないため、給水を停止することを検討しています。給水を停止するにはどのような手続きが必要でしょうか。

 水は人の生活に不可欠であるため、その供給を停止することは非常に慎重な対応が求められますし、安易に供給停止を行えばその行為が権利の濫用とみなされ、逆に管理組合が損害賠償請求を受ける可能性があります。
 過去の判例によりますと、管理組合が水道料金滞納者への措置として給水を停止する行為が権利の濫用とみなされた事例があり、その判例によれば、「他の方法によることが著しく困難か、実際上効果がない場合」であることを要求しています。そのためには、概ね次の手順を踏む必要があり、この手続きによる水道料金の回収が不可能だった場合に、初めて給水の停止が可能となるかもしれません。
(1)滞納者に対し粘り強く(少なくとも半年以上)督促をする。
(2)訴訟等の法的手段により、債務名義(勝訴判決等)を取得する。
(3)債務名義(勝訴判決等)に基づく財産の差押を実行する。
 また、管理規約に「水道料金の滞納者に対し給水を停止することができる」旨を定められていても、上記の手続を踏むことが必要です。
 このように、給水を停止するためには大変な労力を要しますので、水道料金の滞納が始まった早い時点で、滞納者の感情的な反発を招かないように、滞納者の水道料金を他の区分所有者が立て替えるシステムであることを説明などして、早期に回収に努めることが肝要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年10月掲載

質問の一覧に戻る

管理費滞納者の役員資格を制限することは問題ないか

理事長をしています。当マンションでは、管理規約を変更して「管理費の滞納者は管理組合の役員に就任することができない」と規定することを検討しています。法律的な問題はないでしょうか。

 区分所有法では、管理組合の役員資格等に関する規定はありません。したがって管理組合の役員の資格・選任方法・任期等に関する定めは、各マンションの管理規約により任意で定めることとなります。
 ただし、定めた内容が一部の組合員に対して極めて有利または不利なもので、適正さや公平性を著しく欠くような規定は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」(民法第九〇条)との規定に照らして、法的に無効とされるおそれがあります。
 本問のように、管理費を滞納した組合員が役員に就任することができなくなる旨の定めを設けることは、組合員の権利の一部を制限することになります。管理費を一カ月滞納した場合に、役員就任資格を剥奪することは行きすぎた運用であるといわざるを得ませんし、一方、役員就任中に一カ月滞納した場合には、役員就任資格がなくなりかねず、新たな役員を選任する必要も生じて、管理組合の業務にも多大な影響を及ぼすことも予測されます。
 組合総会において、長期間管理費を滞納されている組合員が役員に選任されるようなことは一般的には考えられませんし、このような定めを設けると、役員選任を巡って法的紛争を生じかねませんので、管理組合の運営上重大な支障が生じるなどの特別な事情がない限り、このような規定を設けることは適正でないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2013年2月掲載

質問の一覧に戻る

高額滞納者に対する共用部分の一部使用制限について

リゾートマンションの理事長をしています。管理費の高額滞納者に対してマンション内のプール施設の使用禁止を検討しているのですが、理事会の決議をもって使用禁止とすることに問題があるでしょうか?当マンション管理規約では、「理事長は、理事会の決議を経て、義務違反者に対し必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる」という定めがあります。

 共用部分の使用方法を定めることは、管理組合の自治に委ねられている事項であり、エントランスホールの使用禁止といったような公序良俗に反するものでなければ、使用禁止について定めることは問題ないでしょう。
 しかしながら、共用部分の使用禁止については、前もって管理規約等にて定めておくことが一般的です。今回のケースでは、総会にて「○カ月以上の管理費を滞納する者はプール施設を利用できない」という使用細則を制定する決議をし、使用細則を定めておくことが求められます。
 なお、当然ながら理事会としてはプール施設の利用を禁止する前に、滞納者への督促を十分に行う等、滞納金の回収に向けた努力を行うことが必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2013年4月掲載

質問の一覧に戻る

高額滞納者に訴訟に必要な弁護士費用等の支払いを請求できるか

理事長をしています。管理費等の高額滞納者に対し、訴訟を起こすことを検討しています。訴訟に必要な弁護士費用等の支払いを滞納者に対して請求したいと考えていますが可能でしょうか。当マンションの規約は標準管理規約に準じています。

 標準管理規約では第六〇条第二項に「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる」と定めています。
 また、違約金として弁護士費用等の支払いを滞納者に対し求める事案として、『管理規約で管理組合が未払金につき「違約金としての弁護士費用」を加算して組合員に請求できると規定しており、同規定は合理的であり違約金の性格は違約罰と解するのが相当であるから、違約金としての弁護士費用は管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用と解される』と、管理組合の請求を全て認めた判例もあります。
 今回のケースでは、規約が標準管理規約に準じていることから、弁護士費用等を滞納者に対して請求することは可能と考えます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2015年3月掲載

質問の一覧に戻る

競売の配当金の取り扱いについて

管理組合の理事長をしています。この度、管理費等の滞納者の住戸が競売にかけられ、配当要求をしていたところ、裁判所より落札者の決定の連絡があったため、特定承継人である当該落札者(以下、「新区分所有者」とします)に対し滞納管理費等を請求しました。その後、裁判所から配当要求に伴う債権計算書の提出を求められたため、その時点での滞納管理費等の額を記載したものを裁判所に送付したところ、同時期に新区分所有者より滞納管理費等の全額が管理組合口座に入金されていたことが判明しました。その後、裁判所から債権計算書に記載した額の通りで、管理組合に配当されるとの連絡があったのですが、受領した配当金の取り扱いをどのようにしたらよいでしょうか。

本件では、配当金が確定していない段階で管理組合より新区分所有者へ滞納管理費等を請求していますが、本来は配当金の確定をもって、新区分所有者に対する債権が確定することになります。

新区分所有者が支払った滞納管理費等は債権確定前であることから、いわゆる仮払金として支払われたものといえます。

よって、管理組合は、配当金が確定し、裁判所からの配当金を受領した上で、新所有者に対して現在の滞納管理費等から配当金額を差し引いて請求すべきですので、新区分所有者に配当金額と同額の金額を仮払金から返還することにし、仮払金を清算することになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2015年10月掲載

質問の一覧に戻る